東京穀物商品取引所は3月14日、株式会社への移行案をまとめ、公表した。農水省は「農産物商品市場の機能強化に関する研究会」(座長:上村達男早稲田大学法学学術院長)を今年1月から開催。農産物商品市場の流動性を高め、本来の機能を果たすため、東京穀物商品取引所が取り組むべき事項を中心に議論をすすめ、報告書案をまとめたもの。パブリックコメントを経て正式決定する。
米国シカゴ商品取引所の主要農産物の出来高がここ5年で倍増したが、日本の農産物商品市場はここ3年で半減した。関係者はこのままでは農産物商品市場機能が消滅しかねないとの強い懸念を持っていた。
改善案では、現在の会員制を止めて平成22年3月までに株式会社化し、意志決定の迅速化、経営の透明性をはかる。一般投資家、商品投資顧問業者など現在の市場参加者の拡充をめざすほか、証券・銀行など金融機関、ファンド・機関投資家、外国人投資家など新しい市場参加者を獲得して行く。
平成22年度末の出来高は平成19年度の50%増の3000万枚、上場商品は2品目以上の増加、新規取引参加者は国内金融機関、外資系企業など10者程度の増加などを目標とする。
米については、過去に農水省に試験上場を申請し、時期早尚とされたが、引き続き再申請に向けて準備をすすめる。また、小麦は今年3月から1年間「小麦先物研究会」を開催し、結論が得られれば外国産小麦を上場したいとしている。
米の上場について、渡辺好明理事長は「生産調整が完璧に実施されることを願っている。その上で天候等のリスクヘッジを生産者、流通業者が認識すれば、その時期が来るだろう」と話した。