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総力を結集し計画生産達成を

−JA全中 (3/28)

JA全中は20年産米の生産調整目標の確実な達成に向けて3月28日、東京都内で「全国計画生産推進大会」を開いた。JAグループのほか、農水省、生産者団体、集荷・販売団体の代表者ら約500人が集まった。 JA全中の宮田会長は、米価下落に対して昨年秋には政府買い入れなどの緊急対策で需給と供給の安定化が図られたが、「私たちはこうした対策を続けることはできないことを肝に銘じなければならない。20年産米について計画生産の実効確保が図られなければ米の需給と価格、稲作経営は昨年以上の困難な状況になる。生産者団体としても行政関与の強化のもと一時金などの政策支援を十分に活用しながら計画生産の徹底に全力で取り組む必...

全国推進大会

JA全中は20年産米の生産調整目標の確実な達成に向けて3月28日、東京都内で「全国計画生産推進大会」を開いた。JAグループのほか、農水省、生産者団体、集荷・販売団体の代表者ら約500人が集まった。
JA全中の宮田会長は、米価下落に対して昨年秋には政府買い入れなどの緊急対策で需給と供給の安定化が図られたが、「私たちはこうした対策を続けることはできないことを肝に銘じなければならない。20年産米について計画生産の実効確保が図られなければ米の需給と価格、稲作経営は昨年以上の困難な状況になる。生産者団体としても行政関与の強化のもと一時金などの政策支援を十分に活用しながら計画生産の徹底に全力で取り組む必要がある」と強調した。
とくに田植えの準備作業が進められている現在は、「計画生産の徹底にきわめて重要な時期」だとして、地域で政策支援を活用しつつ生産調整未実施者にも働きかけ、「どういった転作作物とするのか、地域の水田農業をどのように展望するのかについて具体的に決断し、実践につく段階にある」と指摘した。
大会では農水省、稲作経営者会議、全米販など行政、関係団体から状況報告などが行われ、また、福島県と新潟県でのJAグループの取り組み状況について報告された。
福島県では生産調整未実施者に対してJAの「担い手対応担当者」が巡回訪問する活動に取り組み、2月末までに未実施者の約8割にあたる585名に働きかけを行った。また、JAグループ福島の独自支援策として集落営農の育成と転作誘導などに総額4600万円の助成を用意した。
これまでに国の緊急対策を機に一部の未達成市町村、JAで過剰作付け解消の動きが出てきており、昨年100ha程度だったホールクロップサイレージの作付けが145haほど上乗せされる見込みだという。
課題としては、未実施者は米と比較した転作収支に関心があることから、生産者の条件にあったメニューの提示が必要で、そのためには転作作物の選定、経営収支などの情報提供をすることや、小規模な生産調整拡大分であってもすべて契約に結びつけるなどの誘導策が必要だと報告。今後、田植え後、収穫前にも働きかけを強め過剰解消を図る。
新潟県からはJA越後中央の田邊元祥組合長が管内の取り組みを報告した。
3月を重点期間として未実施者に個別巡回や集会を開いて説明を行っている。また、JA単独で5600万円の予算を確保し管内の地域協議会に配分、超過達成奨励などに活用しているという。「今年は正念場。これからの米政策を左右する」と取り組みの決意を語った。
大会では行政、生産者、集荷・販売団体を含めて「20年産米の計画生産の達成と水田農業の確立に向け総力を結集する」ことを盛り込んだ大会宣言を採択した。

【状況報告】
○町田勝弘・総合食料局長
昨年秋に19年産の米価対策として政府備蓄を適正水準の100万トンまで積みますことなど緊急対策を決定、その結果、米価は下げ止まった。現在、政府備蓄については適正水準にあり20年産については政府米の買い増し等の措置は発動できない。20年産米の価格を安定させる唯一の方法は20年産の生産調整の実効を確保すること。20年は今後の米政策の行方を決定する節目の年、正念場。地域水田農業活性化緊急対策と産地づくり交付金を一体として有効に活用してこれまでの実施者だけでなく、これまで生産調整に参加してこなかった農業者も生産調整に参加するよう各地域の取り組み強化に全力をあげていただきたい。
また、各地域で10年程度の先を見据えた水田農業のあり方を見据えた取り組みを進めてほしい。米消費量の減少傾向や少子高齢化、人口減少など社会構造の変化等があいまって今後も主食用の需要量は年9万トン程度の減少が見込まれる厳しい状況。その一方で小麦やトウモロコシなど穀物の国際相場は高騰。このような状況を捉えて麦、大豆、飼料作物など自給率の低い作物の生産や、飼料用米、米粉用米など非主食用の用途拡大にも目を向け可能な地域から低コスト生産の取り組みを進めていくことも必要だ。
○佐藤正志・全国稲作経営者会議会長
20年産の需給調整は稲作経営の今後を展望するためにもその成果が問われている。生産調整未実施者の協力をどう取りつけるかが最大の課題。担い手への傾斜配分枠が設定されたことにより経営のメリットが生まれそれまで生産調整未実施だったのが実施者になった例もある。
また、米の新規需要などを経営に結びつけ米を作りながら生産調整目標を達成する手法も実践していく必要がある。生産調整未実施者を外へはじき出すのではなく仲間に取り込んでいくことが重要だ。
○飯野俊榮・全国主食集荷協同組合連合会会長
地域協議会との連携を深め関係団体、行政と連携し共通の認識に立って20年産米の計画生産の徹底にむけて取り組む。今や世界的な食料争奪の状況だ。こうした状況のなかで日本農業は何ができるのか、何をすべきか。政府は長期展望に立った国家戦略として、なすべき日本の農業の道標をつくってほしい。水田転作が円滑に進まない真の原因はどこにあるのか、よく研究し農業者の期待に十分応える攻めの農業施策をお願いしたい。
○安藤勲・全国米穀販売事業共済協同組合常務理事
全米販の組合員は米流通量の半数近くを取り扱っている。販売量の減少と価格の下落が続き厳しい経営状況に置かれている。生産者も含め業者間で激しい販売競争が行われているなかで供給過剰となるとたちまち価格は下落し売り上げ高の減少で卸経営を直撃する。
卸売業界としても米の需給と価格の安定を強く望んでいる。その実現には生産調整の実効性確保がきわめて重要で生産調整目標達成は決して人ごとではなく喫緊の課題であるとの認識を組合員と共有し、そのうえで20年産米を直接取引する生産者に対して生産調整の実施と目標数量の確保を働きかけるよう組合員に求めている。

(2008.03.31)