NPO法人日本GAP協会(片山寿伸理事長)は、3月26日に東京大学弥生講堂で「GAP全国大会」を開いた。会場には全国から生産者、行政関係者をはじめGAPの推進に携わる人たちなど約300名が参加し、GAPの現状やこれからの取り組みなどについて話し合った。
まず、瀧澤直樹農水省生産局生産技術課課長補佐が「GAP手法に係る全国の取組状況について」基調講演をした。そのなかで瀧澤課長補佐は、GAP手法の全国的な広がりを報告するとともに、今後の推進課題として▽生産者にとっては負担が増えるだけで、GAP導入のメリットが不明確▽生産現場での指導者不足▽川下でのGAPの認知度の低さをあげた。
その後、鈴木崇之栃木県農政部生産振興課長が、いちご全生産者へのGAP推進を中心に「栃木県のGAPの取り組み」を、生産者47名で組織され農産物の生産・販売などを行っている「いばらき農産物流通研究会」の玉造洋祐事務局長が「GAPと産地の販売戦略〜信頼される生産者グループを目指して」を報告した。
その後、(株)イトーヨーカ堂青果部の恵本芳尚チーフバイヤーが「小売業がGAPに期待すること」、日本GAP協会の横溝太郎氏が「世界のGAP」、九州大学農学研究院の陳廷貴氏が「中国におけるGAP取組の現状と課題」を報告した。また、斎藤修千葉大学大学院教授をモデレーターに上記報告者と和田正江主婦連合会参与をパネラーに「日本の農業経営とGAP」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
【解説】GAP(Good Agricultural Practice)とは
農産物の安全などを確保するために、生産工程管理の考え方に基づいて、農業生産における管理点をまとめたもので、農業生産者が農場管理のレベル向上のために利用する新たな手法。
現在、農業者・産地がGAPに取り組みやすくなるよう、基礎的な事項について、一定の作物ごとに全国的に汎用性の高いGAPモデルの「基礎GAP」を農水省が作成し公表している。「21世紀新農政2007」では、平成23年度までにおおむねすべての産地(2000産地)でGAPの導入を目指すとしている。
日本GAP協会が平成15年7月に第1版を作成した「JGAP」の最新版・青果物2.1版では、129の農場管理ポイントが定められ、農産物の安全・環境への配慮・生産者の安全と福祉・農場経営と販売管理の4つの課題を解決する手法として利用されている。また「JGAP」は「GlobalGAP」(旧:EurepGAP)との同等性認証がされており、欧米向の農産物輸出に有利だといわれている。