農政・農協ニュース

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「利用しやすさを重視」の各種改訂を実施
〜担い手への保障面での支援も強化

−JA共済

 JA共済連(上原寿宰理事長)は、4月から既契約者の継続利用のしやすさや新規利用者の保障の充実度や利便性で魅力ある仕組を提供することを目的に、中高齢者の医療保障、一時金を活用した生命・建物分野の保障、若年世代の死亡・後遺障害にかかる改訂を行う。あわせて農業の担い手に対する保障面での支援を強化する改訂も行う。 ◆中高齢者の継続利用の利便性を高める改訂 ◎健康に不安がある中高齢者向け医療保障、引受緩和型定期医療共済「がんばるけあスマイル」の新設  既存のJA共済の中高齢者向けの簡易な手続きの医療保障「花満ち」や「がんばるけあ」では、過去に所定の病歴がある場合...

 JA共済連(上原寿宰理事長)は、4月から既契約者の継続利用のしやすさや新規利用者の保障の充実度や利便性で魅力ある仕組を提供することを目的に、中高齢者の医療保障、一時金を活用した生命・建物分野の保障、若年世代の死亡・後遺障害にかかる改訂を行う。あわせて農業の担い手に対する保障面での支援を強化する改訂も行う。

◆中高齢者の継続利用の利便性を高める改訂

健康に不安がある中高齢者向け医療保障、引受緩和型定期医療共済「がんばるけあスマイル」の新設
 既存のJA共済の中高齢者向けの簡易な手続きの医療保障「花満ち」や「がんばるけあ」では、過去に所定の病歴がある場合には利用することができない。そのため本当に保障が必要な人が保障切れ状態となってしまうことがある。また、その数は年々増加傾向にあるといえる。
 今回新設される「がんばるけあスマイル」は、血糖値が高く服薬中とか、健康診断などで高コレステロール・高脂血症と指摘を受けた、あるいは糖尿病でインスリン投与のため通院中という人でも、簡単な告知をすることで加入することができる仕組みだ(入院中や今後入院、手術予定などがある場合などは加入できない場合もある)。
 加入年齢は50〜75歳(一律90歳まで更新)。
満期共済金等の一時資金の活用と万一保障を併せて行う、一時払生存型養老生命共済「たくわエール」を新設
 養老生命共済などの契約が満期を迎える人や定年退職をする人が増えている。これらの人の満期共済金や退職金など手持ちの一時資金を将来の生活に備えるために有効に活用したいというニーズがある。そうしたニーズに応え、より「分かりやすく」かつ「加入しやすい」仕組みとして、一時払生存型養老生命共済「たくわエール」を新設する。
 共済期間は5年または10年で、共済掛金は一時払(契約単位1万円、最低限度額50万円)。予定利率は契約時当月の市中金利を基準として設定される。例えば一時払共済掛金100万円、共済期間5年で契約し、予定利率が0.70%の場合、満期時には101万3742円を受け取ることができる。満期前に死亡した場合は、疾病死亡の場合は一時払共済金と共済掛金積立金のいずれか大きい額、災害死亡の場合は死亡共済金の額の1.1倍となっている。なお、養老生命共済の共済掛金一時払特約、共済掛金一部一時払特約、共済掛金建特約は今年3月末で廃止となる。
満期共済金等の一時資金の活用により期間中の掛金負担を軽減しつつ保障継続できる建物更生共済の「共済掛金振替払特約」の新設と転換制度の見直し
 JA共済の建更は昭和53年に「建更まもり5型」を開始してから今年で30年となる。そのため満期を迎える契約が多くなる。そこで満期共済金等の一時資金を活用して掛金負担を軽減しつつ保障を継続できるようにする「共済掛金振替払特約」を新設する。この特約は、長年にわたって建更に加入してきた中高年齢層のニーズに応えた新制度だといえる。
 あわせて転換制度の見直しを行い、仕組みの分かりやすさ保障設計の自在性を向上させる。

◆若い世代の合理的な万一保障の設計を可能にする改訂

 ファイナンシャル・プランニング技法による生活設計(ライフプラン)の考え方では、家計を支える世帯主の必要保障額は、万一の際に残された家族がその後も生活していくための費用を積算していくために、一般的に末子誕生時点が高く、その後は減少していく。このため、本来は若年時ほど高額の保障が必要だが掛金負担が大きいために加入金額が十分ではない傾向がある。
 一定期間の死亡・後遺障害保障を手厚くする仕組みはいくつかあるが、合理的・効率的に保障設計をしたいというニーズにより的確に応え、世帯主に万一のことがあっても特約の共済期間満了まで家族が毎年年金を受け取れる「家族収入保障特約」を新設する。そしてこの特約付の終身共済・医療共済の契約プランを「家族のきずな」と名づけた。

◆共済金請求の利便性を高める改訂

 JA共済では従来から被共済者が共済金を請求できない身体状況になったときに、被共済者に代って所定の代理人(同居し、または生計を一にしている戸籍上の配偶者か3親等内の親族)が共済金を請求できるが、今回「指定代理請求特約」を新設し、対象となる共済金および指定代理請求人に指定できる親族の範囲を拡大し(戸籍上の配偶者、直系血族、兄弟姉妹など)、請求手続きの利便性を向上させた。

◆農業の担い手への保障面での支援強化

 JA共済では、担い手農家を中心とした法人経営者向けの共済期間が「5・10・15年満了、または80歳満了」の定期共済に「90歳・99歳満了」契約を新設する。
 これによって、期間中の共済金の一部を損金算入して節税メリットを活かしつつ解約返戻金を活用した勇退時の退職金造成や万一時の保障確保を併せて行う保障プランがさらに充実することになる。
 また、これまでは外壁のない建物(畜舎、堆肥舎など)は、危険が高い物件として、建更の契約ができなかった。しかし、農業経営の大型化・法人化が進み、補助事業や融資・リース制度が整備され、建更の保障対象にできる強度をもった畜舎・堆肥舎などの建物が現れている。こうした畜産・酪農農家の担い手のリスク保障をサポートするために、所定の要件を満たす外壁を備えていない畜舎・堆肥舎への保障提供を可能にする「特定建築物主契約」を新設する。
 さらに建更では、共済契約者の範囲に「共済の目的を管理する者」を追加し、集落営農組織などが組織や活動区域に属する個人の施設を賃貸し管理する場合に、集落営農組織の管理者・使用者が建更に加入することができるようにした。

(2008.04.01)