米の集荷円滑化対策による平成17年産「現物弁済米」の販売が開始されて1年以上になるが、販売量が伸びず在庫が大量に残っており、関係者を悩ませている。
集荷円滑化対策は、豊作時に過剰米を主食用米と区分して出荷し市場隔離した生産者に、60kg当たり4000円の生産者支援金の支払いと3000円の無利子融資が行われるもので、融資分3000円の1年後の返済は、融資を受けた現物でもできる制度。
平成17年産米の作況が101だったことから、初の発動となった集荷円滑化対策では、融資の対価として大部分が現物で返済され、18年11月に「現物弁済米」7万5000tが、この対策を実施している(社)米穀安定供給確保機構(米穀機構)に償還された。うちわけは、水稲うるち玄米7万1773t、水稲もち玄米3195t、醸造用米62t。
米穀機構は、19年1月からこの現物弁済米を販売しているが、20年2月末の販売実績は8000tで、在庫は6万7000t。
販売が進まないのは、販売用途が制限されている影響が大きい。購入できるのは、主食用米、加工用米、ミニマムアクセス米が販売されていない新規用途が条件。既存用途の場合は、米以外の原料または原料として使っている輸入米粉調整品を、弁済米と代替する場合や、製品の需要が増加すると見込まれることが条件だ。
新規用途では、米粉パンが代表的な製品。米粉パンの普及拡大には関係団体や農水省から期待が寄せられている。
ただ、米粉パンの製造者からは購入に当たっての要望も出ている。現物弁済米の販売は一般競争入札のため、原料価格がその都度変わりかねず、安定価格での供給や、小規模のパン屋が使いやすいようなロットでの供給希望などだ。また、時間がたつにつれて現物の古米化が進むため、早期に供給を望む声もある。米穀機構は、落札価格はほぼ下限に張り付いていて、下位安定していると説明している。
農水省は販売先の確保等を含め、今後関係者が協議を行う必要があるとしている。