「朝ごはん」を勧める農水省のチラシ |
農水省は4月8日、20年度の米消費拡大国民運動の展開方策を発表した。昨年11月から始めた「めざましごはんキャンペーン」を軸に、
▽朝ごはんビジネスの推進
▽簡素化・個食化への対応の推進
▽米飯学校給食の推進
▽「家族揃って夕ごはん」の推進
▽健康志向・環境問題への対応の推進、の5項目を設定している。
各項目の具体策には、昨年秋に全省的に行った消費拡大のためのアイディア募集に応募した827件から実施可能な方策を取り入れる。
「めざましごはんキャンペーン」は3つの重点期間に分け、4月は新入学生、新入社員等を対象にする。6月は食育月間に合わせ、さらに新米時期をはさんだ夏〜冬のキャンペーンを行う。テレビ、新聞、雑誌、Web広告等の各メディアによる広報活動と食品産業事業者によるキャンペーンなどを行う。
「朝ごはんビジネス」では、駅ナカの店舗や、通勤・通学途上のコンビニの役割が大きい。回転寿司店が東京駅など数駅で開いている回転朝食は、「ごはん、みそ汁、のり」の基本セットに客が回転寿司のレーンから納豆、焼き魚などのメニューから3皿を選んで500円。東京駅では、毎朝400人が利用するという。今年はこのような例も参考にして運動をすすめる。
朝食はパン派という若い女性も、4割は「和食を食べたいが、品揃えが不満」という調査がある。中食・外食業者に新メニューの投入が期待されるケースだ。
文科省は週3回の米飯学校給食の実施を目標にしている。18年度の全国平均実施回数は週2.9回で、5年間横ばいを続けている。しかし、県別では福井県が週3.7回で最多、神奈川県は2.3回で最少など開きが大きい。農水省は、3回以上に達した県でさらに引き上げたり、3回未満の県の引き上げなどにより、平均3回の目標をさらに増やすよう、文科省に協力を要請している。
家族が揃って夕ごはんを食べる場合はごはん食が増えることが、Web調査の結果わかったという。サラリーマンが家族と夕飯を食べるゆとりを持って帰宅できれば、新たなライフスタイルの実現につながる。企業経営者が協力してくれれば、結果的には米の消費拡大に通じると、消費拡大運動には「ワークライフスタイルの実現」も掲げた。
◆年1人当たり62kgの消費めざす
国民1人1年当たりの消費量は、昭和37年に118.3kgで過去最高だった。以来毎年減少を続け、平成18年は61.0kgと約半減した。食料・農業・農村基本法にもとづく1人1年当たりの目標消費量は、平成27年に62kgとされており、農水省はこの水準まで近づきたいとしている。
20年度は仮に米価が下落した場合、昨年のような政府買い入れの道がない。省内では「生産調整目標を完全に達成する一方、米の消費を増やすしか打開策がない」との認識が強く、消費拡大対策の指揮を執る澤雄二大臣政務官は「ピンチをチャンスにつなげたい」と意欲を見せている。