総合マーケティングビジネスの(株)富士経済は、昨年8月から今年1月にかけて加工食品29分野370品目の市場調査結果を、このほど報告書にまとめた。
加工食品市場を業界別に分析したほか、加工食品市場を取り巻く環境や有力企業のマーケティング戦略を分析した。また、2007年の注目トピックスとして、市場動向を次のようにまとめている。
▽チルド食品市場
鮮度志向が強い顧客の満足度を維持するため、小売業者のチルドへの注力度が高まっている。9兆円を超えるチルド食品市場は、ここ数年は横ばいで推移。その70%以上が市販用だが、量販店では和洋日配を中心とした落ち込みが影響し、わずかに前年を下回るものの、コンビニでは調理めん、調理パン、サラダ、惣菜などを中心として伸びており、市販用市場を牽引している。
▽ネットスーパー
店に来られない顧客の需要を取り込むため、2000年に西友がネットスーパーに参入して以来、イトーヨーカ堂、マルエツ、オークワ、紀ノ国屋などの参入が相次ぎ、2007年にはユニーが参入した。参入各社は2007年も対象エリア、取り扱い店舗数、取り扱いアイテム数を拡大している。
ネットスーパーの主力顧客数は30〜50代女性で、夕食のための買い物を自宅まで届けてもらうという日常的な利用が中心であり、牛乳、卵、青果などが売れ筋になっている。今後の話題は、受注から配達までの一連のオペレーションの効率化と運営コストの低減、店頭利用顧客層へのアプローチとなるが、高齢者ほどネット操作が難しくなり、利用者拡大の壁になっている。
▽食への不安拡がる
昨年起きた食の安全に関する主な事件は食品偽装や中国産食品によるものだった。中国産食品については今年1月に起きた中国産冷凍ギョーザによる中毒事件をきっかけに、安全性に対する不信感から輸入量が減少するとみられる。そのため今後は国産商品の価格が相対的に高まるとみられる。しかし、国産商品は中国産商品と比べてコストが高いため、これまでの中国産商品をそのまま国産商品に置き換えることは困難とみられる。
▽日系企業、中国に活路
経済が急成長を遂げている中国に進出し、商品を販売する日本の食品メーカーが増えている。キリンビバレッジは95年に炭酸飲料で初進出したが、昨年は中国で缶入りが主流だったミルクティをペットボトル入りで投入し、大ヒット商品となっている。
キューピーは94年からマヨネーズの製造販売を開始、以来ジャムや卵加工品、ドレッシングと投入商品を拡大している。同社はテレビのスポットCMや屋外広告などのプロモーション活動も行っている。ヤクルト本社は、2002年に中国に進出、以来現地で製造販売を行っている。