独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の生研センター(埼玉県さいたま市)はこのほど、20年度から研究開発に着手する21の新規課題を決めた。内訳は第4次農業機械等緊急開発事業が8課題、基礎基盤研究が13課題。生研センターでは、生産性の向上、食の安全・安心、省力化、環境負荷の低減や農作業安全などに役立つ革新的農業機械・技術の研究開発を行っている。
農業機械等緊急開発事業は、民間企業、大学、行政と連携して高性能農業機械を実用化するもので、平成5年度に着手して以来これまでに51機種を開発、13万台が普及している。
開発事業では、「中山間地域対応型汎用コンバインの開発」は、軸流型脱穀機構を小型化する。小型化に対応して新たな機構を付加した選別機構を開発し、機械の汎用的な利用を通じて機械費の大幅な低減をはかる。「玄米乾燥調製システムの開発」は、高水分で脱ぷして玄米状態で仕上げ水分まで乾燥し、燃料の節減と大幅な省エネルギーを実現する。
他に「高精度高速施肥機」「加工・業務用キャベツ収穫機」「たまねぎ調製装置」の開発など。
基礎基盤研究では「作業者装着型農作業アシスト装置の研究」は、農業特有の姿勢での長時間作業や、重量物の上げ下ろしなど、肉体的負担が大きい作業を省力化するため、農業者が身体に装着する方式の機具の開発に向けた基礎研究を行う。「乳房炎早期検出技術の研究」は、電気化学センサを用いて搾乳時に乳汁の電気化学的特性を測定することで、感染初期の乳房炎や潜在性乳房炎の早期発見を支援する技術の開発に向けた基礎研究を行う。
他に「未利用バイオマス成形技術」「小型穀類タンパク計」の研究などが挙げられている。