中央酪農会議は4月23日、都府県を対象にした酪農緊急経営対策の事業説明会を開いた。すでに都府県酪農の飲用乳支援として、経産牛1頭につき1万6500円の助成金を交付することが決まっていたが、その詳細を決めた。
交付金が受給されるのは飼料の自給率向上に取り組み、生乳の計画生産をする生産者。生産向上計画は3ヵ年計画で実施する。
20年7月1日現在で27ヶ月齢以上の乳牛1頭につき2アールの飼料作物作付け実面積を持つことが基礎要件。同面積分の国産粗飼料の購入でもよい。
さらに以下の6点からいずれか1つの取り組みを計画して実施する必要がある。▽二毛作または二期作の実施▽借地を活用した飼料作物の作付け▽エコフィードの給与▽乳用牛群検定への参加▽肉用牛繁殖雌牛の導入▽その他都府県知事が特別に認めた取り組み。
支援を受けようとする生産者は、都府県ごとに設置される酪農飼料自給率向上協議会に「酪農経営強化計画書」を提出。そこから指定団体や中酪などに交付申請が出された後、四半期ごとに4125円の支援金が交付される。
協議会事務局の設置や、計画書の受け付け、飼料作物の計画生産実施状況、現地での確認業務などは各県JAに委託される。
4月下旬に協議会の設置と知事特例の事前協議を行い、6月に計画書を提出。7月末に第1回の支援金が交付される予定。交付期間は本年度のみ。
飼料高騰や飲用牛乳の需要低迷によって酪農経営は打撃を受けている。生産コストの向上を飲用乳の販売価格に反映させると1kgあたり5円の値上げが必要だが、4月からの値上げ額が1kgあたり3円だったため差額の2円分を助成する、というのが2月に決まったこの緊急対策だ。牛1頭の年間乳量約7850kgに2円10銭をかけると1万6500円となる。
北海道の酪農は飲用乳よりも加工乳の割合が多く、加工原料乳生産者補給金単価の上昇や、生乳需給構造改革事業の拡充によって経営の安定が計れるため今回の事業では対象となっていない。