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農水省が「高温障害対策レポート」

−水稲では遅植えなど全国の対策例まとめる (4/18)

農水省が作成した レポートの表紙 農水省は地球温暖化による農業生産への影響と対策を調査し「平成19年度夏季高温障害対策レポート」を作成、4月18日発表した。調査期間は昨年2〜11月。対象は大別して9品目。昨夏は猛暑のため穀物、野菜、果樹、畜産と軒並みに品質も収量も低下するという結果になった。しかし北海道からは全品目について影響などの報告はなかった。 水稲では全国から白未熟粒の発生報告が多かった。登熟期の高温による。また斑点米カメムシ類の多発も全国的だった。東海・近畿地方では1年を通じた高温が発生要因になっている。次いで東北を除いて粒の充実不足があった。胴割粒の発生も東北、関東・北陸、中国・四...

農水省が作成したレポートの表紙
農水省が作成した
レポートの表紙

農水省は地球温暖化による農業生産への影響と対策を調査し「平成19年度夏季高温障害対策レポート」を作成、4月18日発表した。調査期間は昨年2〜11月。対象は大別して9品目。昨夏は猛暑のため穀物、野菜、果樹、畜産と軒並みに品質も収量も低下するという結果になった。しかし北海道からは全品目について影響などの報告はなかった。
水稲では全国から白未熟粒の発生報告が多かった。登熟期の高温による。また斑点米カメムシ類の多発も全国的だった。東海・近畿地方では1年を通じた高温が発生要因になっている。次いで東北を除いて粒の充実不足があった。胴割粒の発生も東北、関東・北陸、中国・四国で目立った。
適応策としては登熟期の高温を避けるため移植時期を遅らせる、出穂後の掛け流しかんがいで水田内の気温を下げるなどの報告が東北からあった。
斑点米カメムシ類に対しては適期防除を徹底しているものの、生態が十分に把握されていないため防除が困難との意見が出た。
関東・北陸では直播の導入なども行われている。また高温耐性品種を導入し、適期収穫をすることなどにより一部の県からは高温障害を回避できたとの報告があった。
適期防除は全国で行われ遅植えも広がっている。耐性品種の導入は東海・近畿と九州でも行われている。 果樹では着色不良の発生が多い。適応策はリンゴの場合、優良着色系統の導入があり、また日焼け果の発生には果実への直射を避けるため高温時の葉摘みをひかえるとの報告があった。 かんきつでは東海・近畿で着色不良対策として反射マルチの活用があり、日焼け果対策では適正な摘果方法など栽培管理技術の導入や草生栽培を用いた土壌水分管理技術の導入などが報告された。
中・四国でも反射マルチが活用され、浮皮の発生対策ではカルシウム剤の散布とマルチ被覆栽培の導入が実施されている。
野菜ではトマト、イチゴ、キュウリなどの遮光フィルムや寒冷紗などの遮光資材の導入が関東・北陸などから報告されている。
畜産では九州・沖縄の場合▽換気や散水などによる直接的な冷却▽良質粗飼料や新鮮な水の給与といった手法▽畜舎などの改良がそれぞれ生産性の低下防止に一定の成果を見せているとの報告があった。
この調査は水稲、麦、豆類、工芸作物、果樹、野菜、花、飼料作物、畜産の主要品目を対象に全都道府県に依頼して報告を受け、全国を5ブロックに分けてリポートをまとめた。
同省生産局では「今後の対策にご活用を」と呼びかけている。

(2008.04.24)