4月30日に開かれたWTO(世界貿易機関)農業交渉全体会合で日本はスイスと共同で輸出規制に関する新提案を行った。
提案の内容は(1)輸出規制発動準則の明確化、(2)農業委員会に協議メカニズムを創設の2点。
準則の明確化では、新たに輸出規制を行う場合は、生産、在庫、国内消費量をふまえて「真に必要なものに限定」すること、と輸出規制を行う国は、食料輸入国の食料安保への影響を考慮し、とくに配慮すべきこととして▽規制がない場合の食料輸入(の実態)▽食料純輸入途上国への食料援助の確保、を準則に盛り込むべきとしている。
また、新規の輸出規制発動にあたっては(1)WTO農業委員会への事前通告と利害関係のある輸入国との事前協議の義務づけ、(2)協議開始から60日以内に解決されない場合の専門家による常設委員会の判断、(3)協議機関中、または常設委員会の判断前の規制発動は不可、といった協議メカニズムをつくることを提案している。
全体会合ではEU、韓国、キューバ、ハイチなどから「タイムリーな提案」「支持する」との評価が出たが、ブラジル、エクアドルからは基本方向は支持するものの「途上国への何らかの配慮が必要」との指摘があった。
また、中国、インド、マレーシアは食料安全保障の重要性は主張したものの、この提案には消極的な態度だったという。
日本としては、当面、ファルコナー農業交渉議長案の再改訂版にこの新提案が盛り込まれるよう「幅広く賛同が得られるよう努力していく」としている。