農水省は5月7日、日本産精米の中国向け輸出の恒常的な検疫条件について同国関係機関と合意したと公表した。
国産精米の中国向け輸出は昨年4月に両国間の大臣級会談で基本的な検疫条件について合意、15年3月以来、4年ぶりに再開され6月には第一弾として輸出許可を受けた全農パールライス東日本(株)の神奈川精米工場が24トンを出荷し北京、上海市内で販売された。その後、昨年末から今年にかけて100トン輸出されている。
検疫条件は、▽中国の検疫対象害虫である3種類の「カツオブシムシ」の無発生が確認されている精米工場での精米、▽輸出前のくん蒸の実施、だった。
両国はその後、具体的なくん蒸の処理方法や、精米工場の指定に必要な条件について技術的な協議を続けてきた。
今回まとまった内容は、▽今後、新たに精米工場を中国向け輸出に指定するには、カツオブシムシについて事前に1年間の誘因剤を使ったトラップ調査を行い、無発生を確認すること、再汚染防止措置として▽くん蒸を行う港湾倉庫について、あらかじめ3か月間のトラップ調査の実施と結果確認、▽くん蒸処理のたびに、くん蒸開始1か月前から精米搬出時までトラップ調査を実施、結果確認を行うこと、などだ。
また、くん蒸処理の具体的な方法についても、リン化アルミニウムを使用、倉庫内の温度測定を行いながら、温度によって処理期間を5日〜7日間などと条件を決めた。
今回の合意によって農水省では日本産精米の「恒常的輸出条件が確立した」としている。中国側は指定精米工場の認可を得るにはカツオブシムシ類調査に3年間必要と主張していたが、1年間に短縮することでまとまった。ただ、新たに指定精米工場の認可を受けるには1年間の調査と確認が必要となるほか、くん蒸を実施する倉庫についても調査を実施しなければならない。
中国向けの精米輸出にはこのほか、通気性のある新しい包装材で包装し、中国向けであることや、品種、精米工場、輸出者名などを中国語で表記しなければならないなどの要件がある。