「食料の未来を描く戦略会議」は5月7日に最終会合(5回目)を開き、これまでの成果を「食料の未来を確かなものにするために」と題してとりまとめ、国民へのメッセージとして福田康夫首相に手渡した。
同会議は、世界の食料事情の深刻化と日本の食料自給率の低下を受けて、国民に安定的な食料供給をするための政策について民間の有識者が集まり意見交換を行ってきたもの。座長は東大農学部の生源寺眞一教授が務めた。
メッセージでは、食料問題を取り巻く国際情勢や国内の現状などを国民に理解してもらい共感を得ること、また長期的戦略的な取り組みで国内の農業体制を強化しなければならないことを訴えている。
そして食料の未来を確かなものにするために、どのような状況であっても常に食料の安定供給を図らねばならず、そのためにも主食用・飼料用穀物の備蓄の重要性、輸入食材の安定確保、国内農業資源の確保などの食料安全保障政策を具体化しなければならないと強調した。
特に国民へ確実に理解を広めると同時に現場の声にも耳を傾けるなど、公民一体となった活動の必要性を述べている。
会合終了後の座長会見では農政の重要なポイントととして、分かりやすさ、冷静な対応、担い手対策、現場への確かな情報伝達、という4点があがった。
分かりやすさについて座長は日本人1人あたりの年間残飯量は約80kgであり、その総計は世界の年間食料援助量約500万tの3倍ほどになるという具体的な数字をあげ、「食べた後のことについても関心を持ってもらう必要がある」と述べた。
「冷静さ」については「食料問題に関する最近の報道は過熱気味である」と持論を述べた上で、「いたずらに恐怖心をあおるような報道は控えて欲しい。一過性の問題として忘れ去られ2〜3年後に同じ過ちを繰り返さないためにも、落ち着いて対応するべきだ」と語った。
担い手対策については農業就業者の高齢化を受けて、農業技術の開発普及と人材育成は即急に取り組むべき課題であるとした。
国民には農業の現状と農政の方向性を広く理解を求め迅速に行動することで、「国民の目から見える形で農政が変わったと思われるような大きな変革が必要だ」と語った。