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日本のアフリカ農業開発支援で食料危機は乗り越えられる

 −FAO事務局長会見 (5/16)

ディウフFAO事務局長 6月にローマで開かれる「世界の食糧安全保障についてのハイレベル会合」(食料サミット)に向けて福田首相や若林農水相などとの意見交換を行うため、FAO(国連食糧農業機関)のジャック・ディウフ事務局長が来日し、5月16日に会見を開いた。 事務局長は「5月末に横浜で開かれる第4回アフリカ開発会議(TICAD)や7月の洞爺湖サミットのホスト国代表として、福田首相がリーダーシップを発揮してくれることを期待している」と述べ、「前日の首相との会談では世界的な食料危機に対する今後の見通しや、世界の農業貿易における日本の役割と重要さについて共通認識を得た」とした。 80年代には17%を占...

ディウフFAO事務局長
ディウフFAO事務局長

6月にローマで開かれる「世界の食糧安全保障についてのハイレベル会合」(食料サミット)に向けて福田首相や若林農水相などとの意見交換を行うため、FAO(国連食糧農業機関)のジャック・ディウフ事務局長が来日し、5月16日に会見を開いた。
事務局長は「5月末に横浜で開かれる第4回アフリカ開発会議(TICAD)や7月の洞爺湖サミットのホスト国代表として、福田首相がリーダーシップを発揮してくれることを期待している」と述べ、「前日の首相との会談では世界的な食料危機に対する今後の見通しや、世界の農業貿易における日本の役割と重要さについて共通認識を得た」とした。
80年代には17%を占めていた世界全体のODAにおける農業分野の割合は05年にはわずか3%にまで低下していることに触れ、「アフリカでは6〜8割の人口が農村に住んでいる。アフリカ農業の開発援助をして生産力を高めることで、食料危機は乗り越えられる。日本の支援に対する期待は非常に大きい」と、アフリカの農業開発に対する日本の取り組みに期待を寄せた。
具体的な開発援助として灌漑整備や農作物の貯蔵技術と施設の開発などをあげ、「発展途上国に食料を援助するのは当然重要だが、それに加えて生産力を向上させるための援助も必要だ」と訴えた。
さらに今期や来期の作付けのため、貧困国に種子・肥料・家畜用飼料などの支援として昨年12月に訴えた17億ドルの追加援助の必要性を強調。TICADや食料サミット、洞爺湖サミットなどでも援助を訴えていく方針。

ディウフ事務局長と若林農水大臣
ディウフ事務局長と若林農水大臣

また食料輸出規制やバイオ燃料開発に対して「今すぐに規制撤廃や開発中止を求めるのではなく、各国の対応とポリシーについて徹底的な話し合いをすることが最重要課題である」と語った。
同日午後は若林農水相と会談したが、この場では日本側から食料サミットの共同宣言に盛り込むべき点を提案した。短期的な施策としては途上国への食料援助と先進国の輸出規制を自粛するように訴えることや、中長期的な施策としては途上国への農業技術や人的支援と生産基盤の強化、食料と競合しないバイオ燃料開発、長期的な食料需給情報の収集と分析体制の強化などを事務局長に伝えた。

(2008.05.19)