(社)国際農林業協働協会(JAICAF)がFAO(国連食糧農業機関)日本事務所との共同編集で発行している「FAO Newsletter」5月号によると、2008年の世界の米の生産量は、平均的な気象条件なら前年比1.8%に当たる1200万t増の6億6000tあまりとなる見通しで、現在主要な米生産国が直面している供給難の緩和が期待されるとしている。
増産傾向にあるのは、アジア、アフリカ、ヨーロッパの各国で、高い国際価格に裏付けられた政策転換が一因という。最近1年間で穀物の国際価格は、米1.7培、小麦2.3培、とうもろこし1.4培といずれも大幅に上昇。米の価格がもっとも高い水準にある。
しかし、世界の穀物在庫は昨年よりさらに減り、過去25年間で最低の水準になっているため、4月に発表されたFAOの今年最初の予測では、今年の世界の穀物生産は対前年比2.6%増の21億6400万tが見込まれるものの、穀物の国際需給はなお不安定だ。食料価格暴騰は貧困層にとっては死活問題で、すでにアフリカ諸国、メキシコ、ウズベキスタンなど一部の国では食料暴動が起きている。
米の輸出量は、110万t減の2990万tまで落ち込む見込みで、主要輸出国のうち中国やインド、エジプト、ベトナムなどでは輸出制限が行われている。同ペーパーは「輸出国の天候いかんでは、ひっ迫した状態が長引いたり、さらに価格が上昇する恐れもある」と分析している。