バイオ燃料が穀物価格を高騰させた悪役となっている中で農水省は「食料と競合しない日本型バイオ燃料生産の拡大対策に向けた対話集会」を開き、5月19日その結果をまとめた。主な意見では「(日本型の)生産拡大のためには原材料や製造のコスト低減はもちろん交付金や基金による支援も必要」「稲わらは畜産の重要な粗飼料。燃料用との棲み分けをきちんとしてほしい」などがあった。
対話集会は同月中旬までの1カ月間、全国9ブロックで開き、生産者や企業、行政担当者ら約1600人が参加した。意見数は約300。
同省は食料と競合しないように稲わら、麦わら、もみ殻などソフトセルロースを使う新技術の確立事業に乗り出す。また木質資源活用型ニュービジネス創造対策という事業も始める。集会はこれらを議題とした。 意見では▽プラント建設に加え、運転コストの補助金制度も検討してほしい▽耕作放棄地を利用したバイオ燃料の生産をもっと進めるべきだ▽小規模施設でできるバイオガスの支援も進めてほしいーなどの推進策が出た。これに対し▽補助金に頼らずにバイオ燃料を事業として成立させる方策が必要(九州)ーという提起もあった。
一方、「食料と競合しない」などというきれいごとではなく、コメを使った燃料の製造を進めても良い。コメの用途が広がれば農家の諸問題が解決に向かうと思う(東海)ーというコメそのものを使うコメ対策前面の議論も出た。
バイオ燃料を製造する際に排出される二酸化炭素とエネルギーの収支について今後しっかりと調査してほしい(北陸)とか、バイオ燃料はビジネスとして成立するのか(関東)ーといった要望、疑問も出た。