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再改訂版めぐり交渉

−WTO農業交渉

 WTO農業交渉は、5月20日にファルコナー農業交渉議長が提示した議長案再改訂テキストについての議論が26日から農業交渉会合で行われているが、若林農相は27日の会見で30日に全体会合が再度開催され、必要に応じて来週も再改訂テキストをめぐって議論が進むとの見通しを示した。  議長案再改訂テキストでは、上限関税については引き続き言及されておらず、この点について日本は一定の評価をしている。ただし、関税削減後も100%超の関税が一定数以上残る場合には、国内消費量の0.5%の追加的な関税割当拡大を提案している。改訂版では、この数値は空欄だったが、代償措置を求める具体的な提案となった。また、再...

 WTO農業交渉は、5月20日にファルコナー農業交渉議長が提示した議長案再改訂テキストについての議論が26日から農業交渉会合で行われているが、若林農相は27日の会見で30日に全体会合が再度開催され、必要に応じて来週も再改訂テキストをめぐって議論が進むとの見通しを示した。
 議長案再改訂テキストでは、上限関税については引き続き言及されておらず、この点について日本は一定の評価をしている。ただし、関税削減後も100%超の関税が一定数以上残る場合には、国内消費量の0.5%の追加的な関税割当拡大を提案している。改訂版では、この数値は空欄だったが、代償措置を求める具体的な提案となった。また、再改訂版の前文(カバーレター)で議長はなお議論が必要としていることや上限関税の導入を主張する国が依然としてあることから、「しっかり反論していく必要がある」(農水省)。
 重要品目の数については、かっこ書きで「4〜6%」と前回テキストと変わっていないが、重要品目の数のベースが無税品目を含む全品目とすることが明記された。日本は無税品目を含むタリフライン数は約1300。有税品目は約1000のため、算定のベースが3割ほど増えることになる。
 重要品目の関税削減率に3つのパターン(一般品目の削減率の3分の1、2分の1など)を設定し、それに関税割当拡大幅を組み合わせる数字に変更はなかった。ただし、重要品目数を2%増やした場合、いずれの関税削減パターンでも、関税割当拡大をさらに0.5%追加的に拡大することも提案されている。
 そのほか、先進国の平均削減率について、前回テキストではかっこ書きで平均54%となっていたが、今回はかっこがはずれた。テキスト全体でかっこ書きは前回の170から30程度にまで集約されているが、議長は必ずしも合意したことを意味してはいないと説明している。
 また、輸出規制については日本・スイスが4月30日にWTOに協議機関を設置するなどの共同提案をしたが、再改訂テキストには盛り込まれなかった。農水省は今回のテキストについて改善されたところもあるが、重要品目の数など依然として不十分な点もあることから、「上限関税の不適用、重要品目の数、(取り扱いの)柔軟性の確保といったことを繰り返し主張」(若林農相)し、輸出規制のルール化も含めてわが国の主張が反映されるよう努力するとしている。

(2008.05.28)