牛乳消費量が落ち込み、酪農家が減っていく中で飼料高がこれに拍車をかけ、このままでは牛乳供給に黄信号といった状況に対し、酪農乳業7団体は6月1日を「牛乳の日」と定め「牛乳の価値を見直して」と消費者に訴える各種のイベントを東京都内で展開した。生産から小売まで業界団体挙げてのイベントは今回が初めて。
5月29日の会見で(社)日本酪農乳業協会など4団体代表は行事に取り組む意欲を語る一方でその背景にある危機的状況を数字で示した。
牛乳消費量は平成6年のピーク時には約435万klだったが、10年には400万の大台を割り、その後やや持ち直したが、15年からは再び下降。 19年には約358万klに落ち込んだ。
要因には競合する多様な飲料の伸びもあるが、少子化による学校給食での需要減少も大きいという。とくに中学生男子では大人の3倍近くを飲むため1人減ると大人3人分の消費減少に匹敵する分量となる。
年齢別に1日当たり平均飲用量(白もの)を比較すると50代の男性が1番少なく99ml、これに対して中学生男子は339mlを飲んでいる(18年、日本酪農乳業協会調べ)。
消費減少とともに、酪農家戸数も減り続け、17年4月の2万5124戸から20年4月には2万1790戸に減った(中央酪農会議調べ)。
とくに都府県での減少が大幅だ。17年の1万7286戸から18年には1万6469戸、19年には1万5534戸と毎年1000戸規模で廃業し、20年には1万4505戸となった。 このまま減り続ければ都府県の酪農家はあと14年でなくなるという勘定だ。中でも関東地方の減少が大きく19年までは毎年200戸以上の高水準で減少。20年4月には331戸減にはね上がり、現状は4326戸。次いで九州地方の減少数が毎年100戸以上で現状は2326戸。
一方、北海道は18年179戸、19年206戸、20年168戸という減少数で現状は7285戸となっている。
17年4月を100とした指数で減少率を見ると、20年4月は全国が約87、北海道が約93、都府県は約84という指数になっている。
今後は7〜9月期も配合飼料価格の上昇が見込まれる中で、中核農家が廃業に追い込まれている生産現場の実態は深刻だ。