記者会見する吉川委員長(中央)と 山下会長(右)飯村常務(左) |
日本生協連の「冷凍ギョーザ問題検証委員会」(委員長:吉川泰弘東京大学大学院教授、第三者検証委員会)は、「最終報告書」をまとめ、5月30日に吉川委員長と山下俊史日本生協連会長、飯村彰同常務理事が出席して記者会見を行った。
この最終報告書では、今回の冷凍ギョーザ問題について、食品安全管理という側面から見ると「牛肉コロッケの虚偽偽装問題や従来の残留農薬問題と同じ性格ではない」。なぜならこれらの問題は「一定のサンプルを検査すれば、その異常は比較的容易に検証可能」だし「結果として起こる危害は急性の致死量に達するような事例にはならない」。
しかし今回の事件は「急性有症事例であり危機管理対応(クライシス・マネジメント)が求められた」もので、「食品の安全性確保に関する新しい問題を象徴的に包含している」と指摘。
さらに通常採用している品質保証システムで「事故や故意による有害物質の混入をいかに防ぐのか、緊急事態が発生したときにはどのようなクライシス対応をとるべきか等々、社会に対しても大きな課題を残した」として、日本生協連および生協全体で取組み課題と、社会全体で取組むべき課題に分け提言している。
そのなかで特に印象的なことは、今回の事件を「食品テロ」と位置づけ、各国における対応を紹介したうえで、今回の事件は従来の「フードセーフティ(Food Sefety:食品安全)」とは別な視点である「フードディフェンス(Food Defense:食品防御)」からの食品安全管理が必要だとしたことだ。
◆商品事業から独立した安全管理部門の設置など
そのうえで、日本生協連に、商品事業・品質管理活動から独立した「食品安全管理部門」を設置し、情報の収集・解析・評価・発信、商品のリスクプロファイルの作成などを実施するとともに、「クライシス発生時に、対策本部機能の中心的担い手」とすること。
生協全体で食品の安全性に関する情報やコープ商品の危害情報を共有化するために「食品の安全情報システム」を整えることが必要だとした。
また危機管理に対しては「『安全であるという確証』が得られない限り、『被害は他にも発生している、または拡大の可能性あり』との認識で対応する」、つまり「原因究明よりも被害の拡大防止が優先する」という基本的な考え方を示した。
そして先の「中間報告」でも強調されたが、危機管理にあたっては「日本生協連を司令塔」として対応することが必要だとした。
日本生協連からは4月11日に公表された「コープ商品の品質保証体系再構築に向けた当面の対策」の進捗状況が報告されたが、そのなかで、専務直轄の食品安全管理部門を6月21日に設置する。組合員からの問合せ・苦情への回答は、日本生協連が責任をもって回答できるよう6月21日から「お問合せ・苦情管理センター」(仮称)を設置する。日本生協連と会員生協・事業連合とで共有する「苦情処理のデーターベース」を11月稼動をめざして整備することを明らかにした。
「最終報告」を受けて山下会長は「今後の事業と組織の出直し的再建に活かしていきたい」と語った。