トウモロコシの収穫風景 =米国ウイスコンシン州 |
農水省は大手商社8社の穀物担当者らによる「国際的な食料需給の情報に関する意見交換会」を開き、個々の発言概要をまとめて6月2日公表した。需給ひっ迫に対して▽輸入先の多元化を検討すべきだ▽現地農民との契約栽培を長期化すること、などの意見が商社マンたちから相次いだ。
具体的には黒海沿岸のウクライナやロシアなどは土地が肥沃なので現在は単収が低くてもインフラ投資や技術導入をしていけば今後は輸入先の候補地になりそうだという。
また▽カントリーエレベーターやサイロなどのインフラを海外で確保することは重要だ▽しかしブラジルでは外国資本による農地取得に対して規制の動きがある▽長期の契約栽培は重要だが、価格高騰の中では農家が短期契約を求める傾向がある▽契約栽培では種子の手当など農家に対する働きかけが複雑多岐にわたり商社では対応が難しい面がある−−など海外調達をめぐる諸課題が出た。
備蓄については、不測時のパニックを回避する観点からも備蓄はこれまで以上に重要になっている、などの意見があった。
穀物別に見た需給と価格については次のような発言があった。
【小麦】
08〜09年度は価格がトウモロコシなどよりも魅力的となったため史上最高の作付面積となり、天候異変がなければ期末在庫率が回復する。価格はトウモロコシと大豆との連動性があることから今後大きな修正は起こりにくいのではないか。
【トウモロコシ】
米国では飼料用のムギがトウモロコシに代わり、輸出も増加し、大豊作でありながら需給はひっ迫。
これまでは1年以上高値が続くことはなかった。今回は過去と異なった状態。 ブラジルは単収が米国の半分ほどで生産意欲も高いため今後の伸びが期待できるが、大豆やサトウキビとの競合が課題だ。
【コメ】
貿易率が他の農産物より低いことに留意する必要がある。現在、輸出国は輸出規制をしている。
生産量を見ると、豪州はマイナー作物であるコメに水を使えないことから激減し、輸出余力がなくなった。米国は水のいらない作物への転換が進み、作付けが減る可能性がある。また中粒種の値段が短粒種と同等になってきて、短粒種の生産が落ち込む可能性がある。
【大豆】
07〜08年度の生産量は米国でトウモロコシへの作付転換から減少。南米では大きく増える可能性があるが、肥料高とアルゼンチンの輸出税、ブラジルのレアル高などが増産意欲を低下させる可能性もある。
世界的に大豆の期末在庫率は20%程度あり、現物不足とはいえないと思われるが、先高の期待感が現物価格を上昇させている。
意見交換会は5月23日開き、兼松、三菱、丸紅、伊藤忠、住友、三井、豊田、三井の8商社担当者が出席した。