食品の生産から流通の履歴を明らかにできるトレーサビリティ・システムを導入している食品小売業は全体の43.4%で、平成15年の調査開始から増加傾向にあると農水省が6月16日、19年度の食品産業動向調査結果を公表した。
内訳は「すべての食品に導入している」20%、「一部の食品に導入している」23.4%、計43.4%となり、前年に比べ4.6ポイント上昇した。
IT機器を活用している企業は、「トレーサビリティのみに利用」が1.1%、「他の用途にも利用」が15%強で合わせて16%強。
また食品生産者などの特定(遡及)について「すべての食品で特定が可能」と認識している企業は32%弱、「一部の食品で特定可能」は40%強で合わせて約72%が特定可能との認識だ。
一方、特定は不可能、または一部不可能とする理由は「自社で情報(仕入れ先などに問い合わせるための記録を含む)を記録・保管していない」が47%強と最も高く、次いで「仕入れ先(流通業者)が生産者などを特定するための情報を記録・保管していない」が約40%となっている。
トレーサビリティ・システムを導入していない、またはしない理由は「導入・運用のコスト(機器、人員など)が確保できない」が41%強、次いで「導入の方法がわからないため」39%強、「仕入れ先、取引先や消費者からの要請がないため」38%弱となっている。
他の用途にもシステムを利用している企業が、システムに記録している項目は「伝票管理記録」が72%弱と最も高く、次いで「販売記録(販売年月日以外)」63%弱、「在庫管理などの商品管理記録」59%弱となっている。
また生鮮食品(40品目)加工食品(加工度の低い10品目)別に生産者の特定ができると認識している企業割合を見ると、70%以上の企業で可能と認識している食品は、生鮮ではうるち米と鶏卵の2品目、また加工では緑茶、こんにゃく、梅干、キムチ、焼きのりの5品目となっている。
60〜70%未満の企業では生鮮でイチゴ、豚肉、鶏肉の3品目、加工でウナギ蒲焼きなど5品目で可能とし、50〜60%未満の企業では35品目の生鮮食品で可能と認識している。
この調査は「食の安全・安心システム」の開発と普及を推進する目的で今年1月1日現在で実施。調査票回収企業数は2085。調査対象の業態は百貨店、スーパー、コンビニ、食料品専門店、同中心店など。