林野庁は6月13日に最終回となる5回目の「山村再生に関する研究会」を開き、全5回の議論を中間報告としてまとめた。
中間報告では山村が新たなエネルギーや素材、またはライフスタイルの供給源であることから、国民共通の財産であり21世紀を支える大きな可能性を持っていると位置づけた。
山村再生の具体的な取り組みとしては、環境・教育・健康という3つの分野を主軸にして新たな産業をおこし山村の活性化を目指す。例えば環境であれば木質バイオマスなどの新エネルギー開発、教育では子どもや団塊世代の山村体験、健康では山村や森林のもつ癒し効果の利用や展開など。さらには山村内外部を包括的に取りまとめる地域マネージャーや地域リーダーなどの人材育成や、総合的な支援センターなどが必要不可欠であることを盛り込んだ。
農水省はこの中間報告をもとに、山村再生の具体的政策を来年度予算の概算要求に盛り込む方針。またこの中間報告を各地の自治体やNPOなどに配布し山村再生の運動を広げていく。
会議を終えた委員からは、
「農山村政策は静かなる革命が行われている。なかなか大きな話題にはならないが、大きな変革が続いているのではないか」(小田切徳美明治大学教授)
「この半年から1年で現場の状況は加速度を増して大きく変わった。スピード感をもった政策を展開してほしい」(曽根原久司NPO法人えがおつなげて代表)などの意見が出た。
研究会座長の宮林茂幸東農大教授も「来年度の政策には、1つでもいいからこの中間報告から具体的事例を実行するとか、モデル作りをやるとかしなければいけない」と、山村再生政策の具体化に期待を寄せた。