自給率向上や農業活性化について 多くの意見が出されたが… |
日本生協連(山下俊史会長)は、6月12〜13日に第58回通常総会を開催し、今年度の事業計画などを決定した。
昨年度は、コープ商品が牛肉コロッケ・牛ひき肉原料偽装、鳴門産わかめ・産地偽装、そして手作り冷凍餃子では人命にかかわる中毒事件を起こし、コープ商品に対する信頼を大きく揺るがせた。とくに冷凍餃子事件は、コープ商品だけではなく「生協というブランドを大きく傷つけた」といえる。
このため日本生協連では今年度の活動方針を当初の案から大きく変更。「2010年ビジョンと10次中計の目標と課題にこだわらず、足元を固める1年」と位置づけ「コープ商品の再構築と生協への信頼の再結成を最大課題とし、持てる経営資源をこの課題に集中的に投入」することにした。
総会の全体討論では34名の発言があったが、その半数を超える18名から「冷凍ギョーザ事件」に関連する意見が述べられた。そしてその多くは食料自給率向上と日本農業の活性化に、国内最大の消費者団体である日本生協連が積極的な役割を果たすべきだという主旨のものだった。また総会に先立って開催された地区別代議員会議でも同様の発言が数多くなされている。
これに対して矢野和博専務理事は、「食品の安全管理と自給率や農業問題は直結する問題ではない。自給率や農業については昨年度方針よりは書き込んでいる。農業についてはさまざまな問題がありそれをまず学ぶことから始めるべきだ」などど答弁。ただ、消費者である組合員と直接接し、コープ商品への不安や生協のあり方について意見を聞いている地域生協や事業連合と全国組織である日本生協連との間に感覚的にずれが生じているのではないかという印象をもった。
◆個配を中心に事業を展開
2007年度の全国生協の概況は、組合員数が2496万8000人で前年度比103.2%、総事業高が3兆4146億4500万円で前年度比101.4%となっている。
そのうち、地域生協の概況は、生協数159(前年度比100.6%)、組合員数1774万6000人(同103.7%)。総事業高は2兆7139億3000万円(同101.7%)。うち供給高は2兆5949億7700万円(同101.6%)で組合員1人あたり利用高は1万2656円(同95.7%)。
業態別では、店舗供給高は9938億円(同99.8%)と3年連続して1兆円に届かなかった。無店舗供給高は1兆5794億6900万円(同102.9%)だが、そのうち個配供給高は8901億9200万円(同112%)と無店舗事業の56%を占めている。
今年度についても、「店舗事業が伸び悩む中、生協事業を維持、発展させてきたのは…個配事業の伸長による」とし、「個配を中心に無店舗事業の成長を維持する」としている。
また生協法改正を受け共済事業については、新共済連「日生協コープ共済生活協同組合連合会」(仮称)の設立総会を10月に開催し、来年3月に日本生協連共済事業から包括移転譲渡を行い事業を開始する予定にしている。