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養豚で発生するリンの再利用技術を開発

ー農研機構など7機関

養豚業で発生する豚舎汚水の中には水質汚染物質である高濃度のリンが含まれており、排水の前にこれを除去する必要があるが、簡便な装置でリンを結晶にして回収する技術を、(独)農研機構を中核とする研究グループが開発した。 リンは枯渇が懸念される有限資源。日本は必要なリンをすべて輸入に頼っており、近年の穀物増産などに連動して価格が高騰しているため今後ますますリンの再利用が求められる中で新技術の普及が期待される。 この技術はリンを結晶化するリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)反応を利用したもの。汚水の中に結晶が付着する網を入れて通気することで効率的に回収できるようにした。 6月18日発表によると現在、養...

養豚業で発生する豚舎汚水の中には水質汚染物質である高濃度のリンが含まれており、排水の前にこれを除去する必要があるが、簡便な装置でリンを結晶にして回収する技術を、(独)農研機構を中核とする研究グループが開発した。
リンは枯渇が懸念される有限資源。日本は必要なリンをすべて輸入に頼っており、近年の穀物増産などに連動して価格が高騰しているため今後ますますリンの再利用が求められる中で新技術の普及が期待される。 この技術はリンを結晶化するリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)反応を利用したもの。汚水の中に結晶が付着する網を入れて通気することで効率的に回収できるようにした。
6月18日発表によると現在、養豚農家3軒で実証試験しているが、結果はそれぞれ良好だという。回収したMAPは天日で乾燥後、肥料メーカーなどで加工しなくてもすぐに肥料として利用できる。また釉薬などの陶磁器原料としての利用も検討されている。
汚水処理施設のうち汚水の原水が流入する部分に、汚水中に空気を送る「曝気部」と、固形分を分離する「沈殿部」を併せ持つ反応装置(MAPリアクター)を設置する。空気を送って汚水のPHを上昇させ、結晶化反応を進行させる。
こうして肥育豚1000頭規模の一貫経営の養豚場を想定すると最大で1日ざっと1.7kgのMAPを回収することで、汚濁物質濃度を低減できるという。
研究グループは農研機構畜産草地研究所と佐賀・神奈川・沖縄3県の畜産試験場、農業技術センターなど7機関。

(2008.06.23)