JA全農たまご(株)は、「しんたまご」「QCたまご」などのブランド卵(定価格商品)を中心に、8月1日出荷分より約3円/個(殻付卵換算)程度の値上げをすることを決め、量販店など取引先と交渉することにしたと6月25日に発表した。
値上げの理由は、生産費の6割以上を占める飼料価格が高騰し、平成18年10〜12月期から直近の20年4月〜6月期までの配合飼料価格上昇幅は、全畜種平均で2万161円/トンとなっていること。さらに原油価格の高騰によって、包装資材価格やガソリン代や配送費など流通コストが高騰していることだ。
とくに飼料価格については、米国の穀倉地帯の天候不順もあって今後も上昇することが予想され、生産者や同社の企業努力の範囲を大きく超えており、今後も生産を維持し、高品質で安全・安心な鶏卵を安定的に供給していくためには、コスト増嵩分の一部を価格に反映せざるをえなくなったという。
業界大手のイセ食品でも「森のたまご」などブランド卵について、全農たまごと同様に値上げすることを決め、取引先と交渉しているという。
鶏卵は自給率(重量ベース)95%を確保し「物価の優等生」といわれて、卵好きな日本人の食文化を支えてきた。しかし、高騰し続ける原油と飼料価格の高波についに抗しきれなくなったということだろう。「しんたまご」は平成3年の発売当初から店頭価格をほぼ300円で維持してきており、値上げをするのは今回が初めてだ。
ブランド卵以外の「レギュラー卵」については、需給関係で価格が決まるが、食品価格が軒並み値上げされるなか安価で高品質な蛋白源である卵の消費が伸びている(1〜4月で前年比104.7% 家計消費)こともあって、昨年同期より30円/kg程度(全農東京・M基準値)上がっているが、飼料価格の高騰を吸収するまでにはいたっていないと思われる。