農林中央金庫は7月3日に36信連ベースの決算状況を公表した。
19年度は貯金利率の上昇などで調達・運用利ざやは低下したが、経費削減の効果と受取出資配当金の増加もあって資金収支は前年度比でほぼ横ばいとなった。
しかし、昨年夏に明らかになった米国のサブプライムローン問題の影響で、有価証券売却の実施などにより、経常利益は前期比▲498億円(▲35.4%)の909億円、当期剰余金は同▲435億円(▲36.3%)の765億円となった。
資金動向としては、貯金残高は51兆5347億円と前期より1兆4959億円増え、債務保証相当額を除く総資産額は前期より1兆5005億円増の55兆1439億円となった。
自己資本比率は加重平均で19.36%で前期比0.36ポイント上昇した。上昇のおもな要因は、一部の信連での増資等の自己資本対策の実施。リスク管理債権は前期より165億円減少し1452億円となった。貸出金に占める割合は前期比0.3ポイント減の2.2%に低下した。
また、JAの資金動向では全国のJA貯金残高は堅調に推移し、前期より1兆8866億円増えて82兆756億円となっている。伸び率は2.4%。JAの貸出金、預け金は前期比で残高が増加したが、有価証券残高は減少した。
農林中金によると20年度の見通しは、急激な金利上昇には留意が必要だが、不良債権処理は全体としてピークを脱しており、相応の収益確保は可能と見込んでいる。