米粒の形や大きさといった形質は収量に影響するが、どのような遺伝子がこれらを決めているか、ほとんど知られていなかった。(独)農業生物資源研究所、(社)農林水産先端技術研究所、富山県農業研究所は共同研究で、米粒の大きさを決めるのはqSW5という遺伝子であることをこのほど世界で初めて突き止めた。
短粒、幅広のジャポニカイネ(日本で栽培されている米)は、野生イネの栽培化の過程でqSW5遺伝子機能を失うことで、籾のサイズが約2割増大し、米粒の幅が大きくなったものという。
これまでジャポニカイネの起源は中国の長江といわれてきたが、さまざまな地域で栽培された約200種の古いイネ品種でqSW5の機能の有無を調べた結果、ジャポニカイネの起源はインドネシアやフィリピンなど東南アジアで、そこからさらに中国を経て日本に伝わったと考えられることも今度の研究でわかった。
長粒、幅細のインディカイネはqSW5遺伝子を持ち続けているため、今後これを変化させることでインディカイネの収量性の向上が期待でき、また、イネの栽培化の過程をDNAの変化から追跡できるという。