農水省は6月末までに、平成18年度に国、独立行政法人から支出を受けた同省所管の205法人のうち、30法人を重点的に点検し、事業の見直し、改善などを要請した。今年4月始めに官房長官が出した、行政と密接な関係にある公益法人について各府省が国の経費の支出の無駄を是正するための集中点検をおこない、6月中に改善結果の最終報告をまとめるように、との指示に沿ったもの。
農水省は(1)国、独立行政法人からの支出額が大きいもの、(2)法人の総収入額に占める国からの支出額の割合が大きいもの、(3)基金残高の大きいものの3項目を基準に、点検する30法人を選定した。
主な点検、見直しの内容は次の通り。
▽補助金事務事業の見直し
公益法人に対する補助金などの事務事業について、国などが直接おこなうことに改め、(社)全国野菜需給調整機構の重要野菜等緊急需給調整事業は、21年度から支出元である(独)農畜産業振興機構が直接実施する。補助金などの事務事業が公益法人の事業でなくなるため、野菜機構の一般法人化を含めた組織形態のあり方について、20年度末までに検討する。
▽補助金等への公募制の導入
競争性を明確にするため、27事業(20年度で511億円が相当)を、公募制へ移行する。うち8事業、69億円については20年度から移行した。移行済みの主なものは、酪農飼料基盤拡大推進事業、牛乳乳製品消費拡大特別事業(見直し前の実施主体は(社)中央酪農会議=20年度予算額55億8000万円)、国産飼料資源活用促進総合対策、新規参入円滑化等対策事業(同(社)中央畜産会=6億5000万円)など。
20年度以降にすみやかに公募制に移行するのは、肉用牛肥育経営安定対策事業(同(社)中央畜産会=148億8000万円)、牛乳需要構造改革事業、広域牛乳流通体制確立事業(同(社)中央酪農会議=85億円)、など19事業(20年度予算額442億円)。
また、実質的な競争性を高めるため、一般競争への移行を徹底する。
▽法人の理事数の削減
法人の性格、事業規模、事業内容などの実態から、削減する必要がある(社)米穀安定供給確保支援機構、(社)中央酪農会議、(社)中央畜産会、(社)家畜改良事業団など15法人に、次期改選時までに削減を求めた。
▽役員報酬、退職金等の抑制
すでに13法人が役員報酬を、11法人が退職金の削減を実施したが、さらに点検のうえ削減をすすめる。
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見直しは、21年度予算編成過程を通じて実現されるものが多いため、今度の点検結果による見直しはスタート台だとして、農水省は「今後政府全体の取り組みのなかで、さらに支出の無駄の撲滅を徹底する」方針だ。