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経営管理委員会、単協への導入を促す

−「農協法改正」事項で農水省が対応方向

農水省は平成15年に施行した農協法改正の実施状況などを検証し、今後の対応方向などを決めて7月11日公表した。 JAへの経営管理委員会の設置を義務づけたり、常勤理事の必置人数を増やすといった規制強化は行わずに、農協系統の自主的な取り組みを促す方向を打ち出した。農協・連合会の常勤役員と中央会常勤役員の兼職は8月に省令を改正して認めないこととする。 中央会監査では全中監査の質を一層向上させるため秋までに目標計画を作って取り組むこととした。 昨年末の規制改革会議で「公認会計士監査の導入が必要」という意見が出たが、農水省としては「指導と一体となって機能している全中監査は、指導と結びつかない外部監査に置き...

農水省は平成15年に施行した農協法改正の実施状況などを検証し、今後の対応方向などを決めて7月11日公表した。
JAへの経営管理委員会の設置を義務づけたり、常勤理事の必置人数を増やすといった規制強化は行わずに、農協系統の自主的な取り組みを促す方向を打ち出した。農協・連合会の常勤役員と中央会常勤役員の兼職は8月に省令を改正して認めないこととする。
中央会監査では全中監査の質を一層向上させるため秋までに目標計画を作って取り組むこととした。
昨年末の規制改革会議で「公認会計士監査の導入が必要」という意見が出たが、農水省としては「指導と一体となって機能している全中監査は、指導と結びつかない外部監査に置き換えることはできない」との立場を示し、「質の向上」という対応方向となった。
組合員資格の見直しでは引き続き農業法人を正組合員にしたり、また地区外の継続利用者を准組合員として加入させ、経済事業などの活性化を図っていくことが課題とした。
13年に改正、15年に施行した農協法の附則は、施行5年後を目途に実施状況を検討して必要な措置を講ずるとしており、これに基づいて今回の措置が出た。中身は省令改正などにとどまり、法改正はなかった。
検証によると、経営管理委員会を導入していないJAは約9割が導入について検討せず、その6割強が必要性が低いとの認識だ。また導入組合では人材難を理由に正組合員以外からの委員登用が進んでおらず、4分の1枠が十分に活用されていない状況。
こうしたことから現行制度のさらなる定着を図ることが最大の課題として、導入が円滑に行われている組合の実態を紹介するなどの運用指針を出す。
13年改正で信用事業を行う組合は3人以上の常勤理事(うち1人以上は信用事業専任担当)を置くことを義務づけたが、多くのJAで常勤理事数は法定下限の3人に張りついており、金融他業態と比べて少ない。
これに対しては組合の業務が一層高度化・専門化し、責任ある業務執行体制が求められている中で、常勤理事の責任の明確化などについて自主的な取り組みを促すよう事務ガイドラインの改正で方向付けをする。

(2008.07.15)