WTO農業交渉のファルコナー議長は7月11日未明、今年5月に示したモダリティ第2次改訂版をもとに、第3次改訂版を加盟国に提示した。この改訂版をもとに21日から閣僚会合が開かれる。
3次改訂版では、関税削減率や国内支持の削減率、重要品目の数など主要な数字については、括弧書きのままで変更はなく、農水省は閣僚会合で主要な数字に議論を集中させようとする意図が議長にあるとしている。
上限関税については引き続き言及はない。しかし、一定のルールで関税削減した後に100%を超える関税品目が残った場合に対する代償措置がより具体的に記述された。
改訂版では、その場合の措置を重要品目と一般品目と分けて選択肢を提示している。重要品目については関税削減後も100%超の関税となることも認めるが、その場合は該当品目に対して国内消費量の0.5%の追加的な関税割当の拡大を求めている。
また、一般品目については関税品目数の1〜2%に限って100%超の関税を認めるとしている。ただし、その条件は(1)すべての重要品目の関税割当拡大をさらに0.5%拡大、(2)当該関税品目の関税削減を2年前倒しで実施、(3)削減幅を従価税ベースで5%上乗せする、のいずれかを選択するというものだ。
上限関税について言及がないとはいえ、代償措置についてより具体化された。この点について若林農相は「日本は従来から上限関税も、それを免れるための代償措置にも輸入国に過重な負担を強いるとして反対してきた」と強調し、この点を「重要事項」のひとつとして閣僚会合には是正を求める姿勢で臨むとした。
また、政府としては洞爺湖サミットで議論された食糧価格高騰など国際需給が変化していることなど、農産物貿易ルールづくりをめぐる状況は大きく変わっていることも強調し、交渉に臨む考えだ。
そのほか、3次改訂版でも重要品目数は4〜6%との幅は変わりがないが、指定できる品目としてこれまではすべての品目が対象となっていた点について、今回の改訂版では「既存の関税割当品目に限定する」という案も併記された。
こうした点も含めてJAグループは3次改訂版は輸出国の強硬な主張が反映された箇所が増えており、このままではまったく受け入れられない内容としており、16日に開く全国集会などをはじめ「悪い合意ならしないほうがよい」との主張を強力に展開していく方針だ。