農林中央金庫は平成19年度に実施した森林再生基金による助成事業の完了にともない、助成を受けた5森林組合のアイデアなどを一般に紹介する発表会を7月29日都内で開く。また前日の28日には全国の参加希望森林組合を対象に経営者向けのセミナーを開く。
同金庫は創立80周年に当たる17年に社会貢献事業として、荒廃した民有林を再生する事業活動を支援するための「公益信託・農林中金80周年森林再生基金(FRONT80)」を設けた。
信託財産は10億円、期間は10年程度。18年度から1年に1億円程度を非営利の団体に助成しており、今回は2年目となる。
日程は森林組合トップセミナーを28日13時30分から翌10時45分まで都内のグランドプリンスホテル赤坂で開く。ドイツで長年、フォレスター(森林官)として活躍したG・リーガー氏と、アサヒビール(株)名誉顧問の中條高徳氏の講演のほかパネルディスカッションなどもある。
ドイツの林業は先進的な事業展開で近年、日本でも大きな関心を集め、環境に配慮した施業なども注目されている。
事業完了発表会は29日11時から16時まで同じ会場で次の5組合が発表する。
【山形県・金山町森林組合】
ダム周辺の共有林で、機能区分ごとの目標林型を定め、施業の集約化・効率化を図り、組合による一元的な森林経営モデルとすることを目指した事業。
【岐阜県・東白川村森林組合】
急峻な地形と路網の未整備などにより整備が遅れている森林で、生産林と保全林の機能区分、高密路網の整備を実施。森林所有者の意識改革も目指す。
【岡山県・真庭森林組合】
進入路がなく長期間手つかずの人工林と広葉樹林で基幹作業道などを開設。指針に基づき高密路網と高性能林業機械の導入による低コスト施業を実証。
【徳島県・美馬森林組合】
急峻な地形と崩れやすい地質の条件不利地域で、幅の狭い作業路と架線系の小型高性能林業機械を活用した作業システムの構築を目指す事業を実施。
【宮崎県・南那珂森林組合】
皆伐放棄地拡大が懸念される南九州でGPS・GISを活用した境界測量、資源調査によりデータベースを構築。計画的・効率的な施業を行う。