JA共済連は7月25日の通常総代会で経営管理委員などを選任するとともに(別掲記事)19年度決算を承認した。
19年度は「JA共済3か年計画」の初年度。「万一保障の中心の保障提供活動から、医療共済、年金共済、自動車共済も重視した保障提供活動に大きく舵を切る」ことを事業課題としていた。
その結果、生命共済(生命・医療共済計)は保障共済金額ベースで前年比173.7%と大きく伸び、17兆7672億円の実績となった。入院一日めから保障されるなど入院特約の仕組み改訂効果がとくに大きく、終身共済と養老生命共済が伸びた。
一方、建物更生共済(建更)は12兆9897億円で前年比66.6%にとどまった。ただ、「生命」と「建更」を合わせた長期共済合計は前年比103.5%の30兆7580億円。
また、年金共済は3年連続で前年度を上回り年金年額1603億円(102.6%)となった。「組合員に年金ニーズがある」(横井新専務)ためとしている。ただし、自動車共済は連合会の受け入れ掛け金ベースで2492億円と前年度比99.2%、短期共済合計では3662億円と同99%と前年を下回った。これは新車販売台数減と原油高を受けた軽自動車シフトによる掛け金減が要因だという。
◆経常利益は計画上回る
長期共済の保有契約高(保障共済金額)は前年度末にくらべて3.1%減の340兆9480億円となった。減少のおもな要因は、満期契約が高い水準で推移していることと、生命共済の新契約実績が転換契約によるものが多かったことなど。ただ、解約・失効率は前年度より0.11ポイント少ない3.74%となった。生損保会社では6%台となっている。
共済金の支払額は過去最高の3兆8842億円(111.1%)となった。このうち満期共済金が2兆9200億円、事故共済金が約9600億円で組合員・利用者の生活保障、災害復興の助けとなった。
経常収益は前年度より3970億円増収の6兆225億円。このうち直接事業収益は、173%伸びた生命共済の新契約増加にともない約1000億円増えて4兆7700億円となった。
経常費用は5兆7900億円。前年より4200億円の増。この結果、経常利益は2355億円と前年より190億円減少したが、計画の2200億円は上回った。
総資産は前年度より5900億円減の43兆5200億円。運用資産は満期到来契約の増加と有価証券等の含み益の減少で8850億円減の42兆1260億円となった。純資産は1兆9640億円で前年より3080億円の減。資産運用面で米国サブプライムローン関連の証券化商品などへの直接投資はなくこの問題に関連する損失はゼロ。株価の下落、円高の進行などで株式、為替で差損が生じたものの利息、配当金収入が増えて正味運用利回りは1.81%となった。
決算処理では、生命総合共済で予定利率リスクに備える異常危険準備金(約8000億)、建更では巨大災害発生時の支払い担保力強化のための異常危険準備金(期末残高1兆3360億円)の造成を行った。
支払い余力(ソルベンシー・マージン)比率は前年度末にくらべて6.6ポイント減少したものの、879.1%と高水準にある。