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北海道、滋賀は生産調整達成、栃木、千葉は未達成か

−農水省の検討会で報告

 農水省総合食料局に設置されている、「販売」を軸とした米システムのあり方に関する検討会は7月25日第15回検討会を開き、20年産の生産調整の状況について、4道県から報告を聞いた。  報告したのは北海道農政部・食の安全推進室長竹林孝、栃木県農政部参事兼生産振興課長鈴木嵩之、千葉県農林水産部長加藤勝、滋賀県農政水産部技監植田儀一郎の4氏。  北海道の20年産生産調整達成率は101.2%の見込み。全国の転作率が41.8%なのに対し55.4%の調整率が課せられているが、麦、大豆、飼料作物を中心に組織化、団地化など高度転作形態に取り組み、超過達成を果たしてきた。産地づ...

 農水省総合食料局に設置されている、「販売」を軸とした米システムのあり方に関する検討会は7月25日第15回検討会を開き、20年産の生産調整の状況について、4道県から報告を聞いた。
 報告したのは北海道農政部・食の安全推進室長竹林孝、栃木県農政部参事兼生産振興課長鈴木嵩之、千葉県農林水産部長加藤勝、滋賀県農政水産部技監植田儀一郎の4氏。
 北海道の20年産生産調整達成率は101.2%の見込み。全国の転作率が41.8%なのに対し55.4%の調整率が課せられているが、麦、大豆、飼料作物を中心に組織化、団地化など高度転作形態に取り組み、超過達成を果たしてきた。産地づくり交付金(転作奨励金)は416億円の配分を受け、地域ごとの多様な取り組みに上乗せするなど、特色ある産地づくり、担い手への農地集積に活用している。また、年産によっては米価が全算入生産費を下回るなど厳しいなかで、転作奨励金は稲作経営の安定に大きな役割を果たしている。しかし、一部には生産調整に限界感を持つ未達地域もあるという。竹林氏は産地づくり交付金に対し、制度の継続、米粉用生産への別途対策、安定経営の保証などを要望した。
 栃木県は、目標面積に対し7月末で17.4%(1123ha)が未達成の見込み。7月末で33協議会中18協議会が未達成だ。改廃等を含む潜在作付面積をベースにした生産調整面積の配分(ネガ配分)時代は完全達成したが、平成16年から定着カウントを固定し、主食用水稲作付面積を配分するポジ配分になってからは、売れる米作りを指導してきたことが生産調整との違和感を増し、未達に転じたという。鈴木氏は需要に応じた生産をどうすすめるかが、生産調整の課題だと指摘した。今後、新規需要米への誘導などにより、過剰作付け解消努力を続け、9月末時点の取り組み状況をまとめる。

◆産地づくり交付金の増額を 

 千葉県は、19年産で目標面積に対し125%の作付となり、20年産は19年産の実作付けに対し約1万3000haが拡大された。平均標高が43メートルと全国で最も低く、水はけが悪い。湿田でも栽培できる新規需要米も取り入れたが、転作達成は難しい状況。
 産地づくり交付金が5億6000万円と他県より極めて少なく、たとえば福島県の約22%だ。飼料用米は緊急一時金を入れても労働費が出ない程度では生産メリットがなく、農家の協力が得られないという。6月下旬に千葉県知事から農水大臣に要望書を提出し、(1)産地づくり交付金の増額、(2)都道府県別の需要量配分方式や配分量の改善、(3)新規需要拡大としての米輸出の推進などにより、水田を水田として活用し、水田が持つ総合的な生産力を高めるよう訴えた。
 滋賀県は、農業者、関係機関、行政が一体となり、毎年生産調整を達成している。それでも、米の消費量の全国の減少分が上乗せされ、生産調整目標面積は毎年増えている。麦、大豆を水稲に次ぐ土地利用型作物として団地化、担い手への集積をすすめ、生産調整に占める麦、大豆の割合は54.4%に。産地づくり交付金31億円のうち麦、大豆に82.3%を集中させている。
 同県の生産調整達成のキーポイントは集落ぐるみの取り組みとしていることで、集落の役員が主体となって集落内の農業者間調整を行い、とも補償や県単独事業、農家拠出金をもとに生産調整実施者に10a当たり5000円を目標に支援をしている。
 麦・大豆栽培が適さない地域では稲ホールクロップサイレージや飼料用米生産を推進している。

(2008.07.29)