飼料用トウモロコシの栽培を省力化する技術を共同開発している農研機構東北農業研究センターと岩手県農業研究センターは不耕起栽培が安定した収量を得られる技術であることを実証したと7月29日発表した。
不耕起栽培の基本技術はすでに米国で確立され、日本でも専用播種機の市販や除草剤の登録など普及の条件が整ってきて、飼料作物の省力化栽培技術として期待されている。
しかし新技術なので生産者には収量性に関する不安があり、全国的に不耕起栽培の導入は、これからというのが現状だ。
今回は登録除草剤による雑草防除体系を確立。東北の黒ボク土地帯でも不耕起栽培は耕起栽培と比べ、遜色のない安定収量を得られると確認した。
大規模経営に向けた低コスト、省力・省資源の有力な技術として、その有効性が実証されたという。
不耕起栽培試験は東北農研センター内の黒ボク土ほ場で多用な品種、作期、肥培管理条件で実施したが、サイレージ用トウモロコシの乾物収量や雌穂重割合は耕起栽培と同等だった。
また標高30m(むつ市)〜950m(岩泉町)の広範な気象条件下や異なる年次での実証栽培でも収量性の低下はなく、4年間の連作試験でも収量性に顕著な低下はなかった。
特徴としては、播種前に非選択性茎葉処理剤を、また播種直後に選択性土壌処理剤を施用すれば不耕起栽培時の雑草は効果的に防除できるし、越年生や永年性の雑草が少なければ選択性土壌処理剤だけでも防除できることもわかった。
試験は収量性の評価とともに不耕起栽培導入にあたっての基盤技術となる登録除草剤による雑草防除体系の確立を目指した。