燃料価格高騰が重油使用量の多いピーマン、キュウリ、トマト、マンゴー、メロンなどの施設園芸を直撃している。肥料価格も高騰するなど、各県とも同じ苦しみを抱えていることから、産地が全国的に共同歩調で危機打開のための方策を検討しとり組もうと宮崎経済連が呼びかけ、7月29日東京・大田市場内で青果物主産県会議を開いた。会議には、21道県の経済連、園芸連、全農県本部・全国連本部が参加した。
宮崎経済連が会議で提唱したのは、(1)再生産価格を基本とした契約販売の拡大に各県が可能な品目でとり組む、(2)青果物価格に重油価格の変動を反映させる「燃料油価格変動調整金」(青果物燃料サーチャージ)の導入を各県が独自にとり組む、(3)値頃価格維持のための量目変更や、選果・選別コスト抑制のための規格の簡素化に各県が連携してとり組む、など。また、農家の経営を維持するためには、現在の野菜価格安定制度の抜本的な見直しが必要と問題提起した。
青果物燃料サーチャージ導入は宮崎経済連が全国で初めて発案、すでに主要都市の市場関係者、量販店などの意見を把握してきた。燃料サーチャージの仕組みは、特に重油の使用量が多い品目の委託販売を除く契約販売分などについて、重油価格から割り出したサーチャージ分を流通価格に上乗せして回収し、農家に精算するもの。最終的には小売価格に転嫁される。
A重油小売価格は、宮崎県の場合、消費税込みの平均価格は1L当たり平成14年に43.6円だったものが、平成20年1〜7月平均で96.3円と、2.2培に上がった。平成19年の73.3円に対しても1.3培になっている。平成18年を100とした20年の農家所得は、ピーマン(促成)では58、大玉トマト(促成)は41、ハウスミカン(極早生)はマイナスだという。21年の農家所得はピーマンはわずか6に、大玉トマト、ハウスミカンはともにマイナスになると、同経済連は試算している。
宮崎経済連はサーチャージを今年は11月からピーマンで実施し、可能な品目から拡大したいとしている。