太田新大臣を迎える加藤専務らJAグループ役員 |
福田康夫首相の内閣改造によって8月1日に若林正俊氏が農水相を退任。後任には元総務庁長官の太田誠一氏が起用され、2日の午前10時に皇居での認証式を終えた後、初登庁した。
就任会見では先日交渉決裂に終わったWTO交渉などについて、目標や持論を語った。
「既にどこの国でも自由貿易の恩恵を受けているのだから、原理的自由貿易主義の立場に立ってさらなる自由化を取り付けようとする態度はおかしいのではないか」と持論を提示したが、「交渉は決裂したが白紙に戻ったわけではない。今回の合意が将来的になされるということも考えながら、生産性の向上などに取組まなければならない」と、いまだ厳しい状況にあることを強調した。
JAに公認会計士による監査を導入すべきだという問題については「農協のガバナンスの問題。組合員が理事を選んで、理事が執行部を選ぶという形があるというのが重要なので、不特定多数に対する情報公開をする必要はないと思う」と述べ、さらに農協の役割について「昨今のJAでは金融業務が中心になっているところが多い。営農の復刻を果たしてくれるように期待している」と述べた。
「農政に長く関わってきたことが 評価されたのでは」とあいさつ |
また米政策をめぐっては、昨秋政府が備蓄米の購入を急遽決定したことについて「これからも途中で買い上げる必要があるかもしれないが、緊急な対応をしなくても良いようにしなければいけない。備蓄ルールについて考えていかなくてはならない」と述べた。生産調整についても「現在は6割の水田で主食用米の生産が出来る状態。残り4割の水田を麦・大豆・飼料用米などで資源活用できれば良い」と、非主食用米生産による水田の利活用促進を政策目標にあげた。
JA全中の宮田勇会長は太田氏就任にあたって「我が国の食料・農業をめぐる環境は大きく変化している。今後のWTO農業交渉や日豪EPA交渉などにおいて、食料輸入国として断固たる姿勢を堅持し、食料の増産と自給率向上などの食料安全保障の確立と、農家の経営所得安定に基づく力強い農業の実現に向けて尽力していただきたい」と談話を出し、農政リーダーシップの発揮に期待を寄せた。
【太田誠一氏略歴】
昭和20年10月30日生。福岡3区、8期目。慶大院博士課程卒、専攻は経済原論。昭和51年福岡大学経済学部助教授、52年米国ブラウン大学経済学部客員教授、55年衆議院初当選、平成10年行政改革担当大臣、総務庁長官、青少年対策本部長。