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農産物増産と自給率向上へ政策提案決める

−JAグループが政策提案
(8/8)

    JA全中は8月8日の理事会で「国産農畜産物増産・自給率向上に向けた政策提案」を決めた。    提案では、世界の穀物需給が「構造的なひっ迫に急転換した」と指摘、「国は食料安全保障の観点から国産農畜産物の増産と食料自給率の向上に向けた取り組みを国家戦略として位置づけ、農地政策、担い手政策、品目政策、税制対策など総合的な政策と万全な予算を確保する必要がある」と提起した。    また、生産資材価格が高騰し、農業経営が危機的状況となっていることから補正予算も含めた緊急対策も求...

    JA全中は8月8日の理事会で「国産農畜産物増産・自給率向上に向けた政策提案」を決めた。
    提案では、世界の穀物需給が「構造的なひっ迫に急転換した」と指摘、「国は食料安全保障の観点から国産農畜産物の増産と食料自給率の向上に向けた取り組みを国家戦略として位置づけ、農地政策、担い手政策、品目政策、税制対策など総合的な政策と万全な予算を確保する必要がある」と提起した。
    また、生産資材価格が高騰し、農業経営が危機的状況となっていることから補正予算も含めた緊急対策も求めている。
    生産資材価格高騰に対する緊急対策としては、省エネ設備対策の充実や電力料金の営農用特別料金の設定など原油対策、低成分肥料活用や施肥効率向上の取り組みなどを支援する肥料対策、追加対策も含めた配合飼料高騰対策、のほか「生産コストに着目した経営安定対策」を確立することも必要だとしている。
    コスト上昇分を販売価格に適切に転嫁できるサーチャージ制度の制度の仕組みや、急激なコスト上昇に直接対応するセーフティネット対策、品目ごとにコスト上昇に着目した経営安定対策の早急な確立などを提案している。野菜では、野菜価格安定制度の保証基準額の引き上げを求めている。
    原油・肥料・飼料高騰では8月8日の全中臨時総会で特別決議を採択した。決議では現在の生産資材高騰は、生産者、JAグループの努力だけでは「到底解決できないほどの困難な状況にあり、政府は緊急かつ万全な対策を早急に措置すべき」と訴えている。26日に緊急の全国集会を開く予定だ。
    農地制度の見直しでは「利用権による農地の利用集積を促進する制度」と「農地を農地として利用する責務の明確化」を提起したほか、転用許可制度は「引き続き国が明確に関与すること」を求めていく。
    担い手対策では、個別経営に加え集落営農、法人など多様な担い手を育成するための「担い手予備軍」を養成する支援策の強化が必要だとしている。
    品目別対策のうち、米では価格下落に対し、生産調整実施者の「主食用米の生産コストをカバーする万全の経営安定対策」の確立を提起。また、備蓄制度についてもミニマム・アクセス米のあり方の検証と、「加工用、飼料用の生産支援のための国による備蓄運営の実施」による戦略的・柔軟な制度の確立を求めている。
    また、ミニマム・アクセス米を、米を主食とするアジアへの貢献の立場から活用をはかり、東アジア緊急米備蓄プロジェクトを早期に本格実施することも求めている。
    新規需要米の需要開発と、生産から流通、加工、販売までが「連携して確実に流通・消費される体制」に向けた支援策も必要だとした。
    畜産では畜種別にコストに着目した経営安定対策の確立と輸入飼料への依存度を低減するための農地を最大限利用した自給飼料増産などを提案、青果物では加工用・業務用対応強化を求めている。

(2008.08.11)