平成20年上半期の食品産業の景況は全業種(製造業、卸売業、小売業、飲食店)全地域で低下し、下半期もさらに低下する見通しだと、農林漁業金融公庫は8月11日に全国の動向調査結果を発表した。
同調査は「良くなった」という回答率から「悪くなった」という回答率を差し引いた動向指数(DI)を用いる。マイナスの値が大きいほど景況感が悪化していることを表している。
20年上半期の景況DIは−19.2となり、16年上半期に同調査を開始して以来の最低値を記録した。20年下半期はさらに低下し、−20.0を下回る見通しだ。雇用判断DIは6期連続で人手不足感が継続、設備投資も4期連続で抑制傾向となり、景気の悪化で人件費や設備投資に手が回らない現状が浮き彫りになった。
景況感の悪化がもっとも著しかった業種は小売業と飲食店。飲食店では前期比で20ポイント以上低下した。
製造業ではパンが8.6、油脂類が30.6など一部でプラスの値が出た。公庫ではこれらを「原料や燃油高騰などのコスト増をスムーズに価格転嫁できた品目だ。しかし売り上げが伸びても経常利益は横ばいか微減となっており、先行きが明るいとは言えない」と分析している。
また全業種で国産農畜水産物の使用割合も調べたが、平均で63.5%と微増。「国産品回帰の兆し」が見えた。
同調査結果は全国の食品製造業や飲食店など2424社からの回答を基に集計した。