雑賀氏は講演の中で「食育の中にぜひとも環境を織り込んで頂きたい」と語った。
かっての米には、小石が混入していることが多かったが、雑賀氏が開発した石抜機により、「無石米」が誕生した。また業界の夢であった研がずに炊飯できる米「無洗米」も、雑賀社長が発明したものだ。とくに「無洗米」の開発には、雑賀氏の自然環境保全に対する思いが、強く反映している。
昭和51年に雑賀氏は、紀淡海峡の汚れを知り、愕然とする。その汚染の主要因が、垂れ流される米のとぎ汁によるものであることをつきとめ、とぎ汁公害を発生させない「無洗米」の開発研究に没頭する。
そして誕生したのが、美味しく、劣化しにくく、手間がかからず、大幅な節水を実現し、米のとぎ汁公害を出さないという、従来の米の概念を一変させた「BG無洗米」だ。「自分の手が届く範囲で、この海の汚れを無くすることが出来ないものか」という簡明率直な思いが「BG無洗米」開発のコンセプトだった。
雑賀氏は漢字の意味に注目し、糠は米へんに健康の康を書くこと、粕は米へんに白米の白を書くことを説明する。つまり糠を含む玄米は栄養価が高く、白米は栄養価が低いということだが、糠を取り除かない玄米は、不味く消化も悪い。そこで「BG無洗米」に続き開発されたのが、美味しさと栄養を両立させた無洗米の「金芽米」だ。
雑賀氏の講演概要を述べたが、米の専門家であり、研究開発の第一人者でもある雑賀慶二氏の記念講演は、学校保健関係者にとって、意義深いものがあったようだ。