JA全農は、持続可能な農業の実現に向けて品目別に対応策を策定し、生産者・JAと連携して生産構造の改善に取り組むと同時に、急激な価格上昇の緩和策として、肥料・飼料事業における価格対策の実施や生産資材・飼料価格の抑制など61億円の「生産コスト上昇対策」(基本対策)を実施してきている。
しかし、肥料・飼料・原油の価格上昇は今後も高止まりするとともに長期化すると想定し、さらに24億円の緊急対策を実施することを決めた。
この緊急対策は、JAが実施している生産コスト上昇対策を支援することを目的に、「組合員に直接つながる」対策にしたいと全農では考えている。
具体的にはこれから要領が作成されるが、耕種部門18億円、畜産部門(飼料)8億円に分けて実施される。耕種部門は県単位での4〜9月の全農供給販売実績(飼料を除く、購買・販売の実績)に応じて配分されることになる。
すでに、JA独自に生産コスト上昇対策として組合員に緊急支援を実施しているJAが数多くあり、全農としてはそうした対策を全国連としてバックアップしていきたいという。
これまでに実施されている基本対策は▽肥料価格上昇対策40億8600万円▽配合飼料価格上昇対策6億1300万円▽燃料価格上昇対策(施設園芸対策)7億6500万円▽広報対策6億円となっている。
今回の緊急対策実施にあたって宮下弘全農理事長は、「61億円や24億円という微々たる対策で生産者が即助かるというわけではないが、わずかでも組合員の手助けをしたいと思って緊急対策を決めた」と語った。全農の今期決算への影響というリスクがあったとしても、生産者の全国組織として組合員を支援することが現在の喫緊の課題だとの考え方だ。