総務省は過疎問題懇談会が4月に取りまとめた提言を受け8月に集落の巡回、状況把握などを行う「集落支援員」(仮称)の設置など集落対策をまとめた。
懇談会(座長:宮口伺廸:早大教育・総合科学学術院教授)提言では、集落の問題を住民自身が自らの課題として捉えることが必要としながらも、市町村が集落に十分な目配りをしたうえで、施策を実施することが重要であると提言。また、「地域によっては市町村行政の集落への目配りが必ずしも十分に行われていないのではないかという懸念もある」と指摘した。
そのうえで、行政経験者、農業関係業務の経験者など地域の実情に詳しい人材を集落支援員として設置し、集落点検や話し合いの促進など、行っていくべきことを提言した。
総務省はこの提言を受けて集落支援員の活動費、アンケート実施などにかかる経費、勉強会等に招いたアドバイザーへの謝礼などを21年度予算から特別交付税で措置することを決めている。
また、こうした集落点検や話し合いを通じて、高齢者の見守り活動や交通確保、伝統文化継承、特産品を生かした地域おこしなど、それぞれの集落の実情に応じた活性化対策を住民と市町村が共同で推進していくことが必要だとしている。
集落支援員は仮称で集落マネージャー、地域アドバイザーなどの名称でもいい。また、集落点検のためのチェックシートを総務省は作成しているが、これは集落住民の年齢構成などを単に調査する内容ではなく、人口動向、連携・協力などの集落のつながり、地域の資源・魅力などそこに住む人々の意向も含め実態を複眼的にみるもの。こうした観点からの集落調査を進めるのも集落支援員の役割。総務省では「JAのOBも当然対象となる」(過疎対策室)と話している。人口減少に悩む集落などでのJAの役割と住民とのつながりづくりのためにも、JAとしても市町村に働きかけて集落支援員制度の活用を検討したいところだ。