野菜の卸売価格は、8月後半の冷え込みや集中豪雨などの影響で入荷量が減少したため、一部品目で卸売価格が上昇しほぼ平年並みとなったが、キャベツだけは価格低迷が続き、状況は深刻だ。
キャベツは7月中旬から卸売価格が平年を下回り、8月上旬〜中旬の好天で豊作となったために今後も価格回復が見込めず、さらに大玉傾向により重量あたりの値段が安く、生産者への打撃は大きい。
JA嬬恋村の一場康高原野菜販売促進担当部長は「出せば出すほど赤字で、ケースの中にお金を入れて出荷しているようなものだ。テレビCMや店頭PRなどで消費宣伝活動をしてきたが、なかなか消費拡大に繋がらない」と、生産現場の窮状と消費低迷の現実を、9月9日の野菜需給協議会幹事会(事務局:(独)農畜産業振興機構)で説明した。
同幹事会は、野菜の需給・価格動向の意見交換をするため、緊急に開催された。
東京中央卸売市場での指定野菜14品目は、入荷量がおおよそ平年並みにもかかわらず、消費量の低迷などを原因に7月上旬から価格が平年を下回っていた。
レタス、キュウリ、トマトなどは8月中旬以降の大雨の影響で入荷量が著しく減少し、8月下旬時点ではナスやネギなども含む7品目が平年価格を上回った。
レタスは7月上旬から平年を下回っていたが、8月25日ごろから急騰し9月6日には平年の2倍ほどの高値が付いた。JA全農の園芸農産部は「主産地の長野、茨城ともに雨の影響で生産量が減少し、9月以降も大幅な回復は見込めないため、今後も高値で推移する」と見ている。
一方、ダイコンは価格の低迷が続いているが、7〜8月の降雨の影響で9月以降は出荷ペースが鈍化すると見られており、価格はやや高くなると予想している。8月上旬にホクレンと全農青森県本部が、計22tの有効利用を含む計299tの市場隔離を行い価格は一旦持ち直したが、盆明け18日の大量入荷で値段が下落し、再び平年価格よりも3割近く安い状態が続いていた。
JA全農では、8月22日の嬬恋村キャベツ無償配布などの消費拡大キャンペーンが好評だったため、今後も消費拡大の活動に積極的に取り組んでいく方針だ。11月には秋冬野菜を中心にした活動を予定している。