飼料用のウクライナ産脱脂粉乳から使用禁止抗生物質のクロラムフェニコールが検出されたと、配合飼料などのメーカーの日本農産工業(株)(神奈川県横浜市)から農水省に報告があり、同省は同日事実確認してこの脱脂粉乳の使用禁止やこの粉乳を使用した配合飼料の出荷停止、回収などを指示したと、9月9日発表した。
検出されたクロラムフェニコールは0.012ppmで、輸入した10tのうち4tをほ乳期子豚育成用配合飼料に使用、残り6tは在庫しているという。同社以外では今年6月と7月に通関前のウクライナ産脱脂粉乳とホエイパウダーからクロラムフェニコールが検出され、通関せずに返送した例があるという。輸入商社は自主分析をおこなっているというが、今回のケースではわからなかったらしい。
クロラムフェニコールは毒性があるため、国際的には食品への残留基準(=MRL)や1日当たり許容摂取量(=ADI)が設定されていない。わが国でも食用動物を対象とした医薬品の承認はなく、飼料に含んではならないとされている。
農水省は平成19年にクロラムフェニコールを0.1ppm含む飼料を給与した豚への移行試験をおこなったが、移行・残留は認められなかったことや、今回の粉乳が給与された場合の子豚は出荷までに間があり、すぐに食肉としては出回らないため、検出された0.012ppmは安全性への影響を無視できる程度としている。農水省は、ウクライナ産脱脂粉乳について今後監視を強化する方針。