JA全農は9月17日に6月末現在の業務改善計画の進捗状況を農水省に報告した。この報告は4半期ごとに行われており、本来は7月末から8月上旬の予定だったが、福田内閣の改造などで遅れたため9月になった。
今回の報告は前回(3月末現在)以降の進捗状況と同時に、前回の報告に対して「取り組みに遅れがみられ、改革の成果が担い手に実感されるまでに至っていない」と、取り組み強化が必要とされた▽担い手への対応強化▽米穀販売事業の機能強化▽事業推進体制の再構築の3点について、別途報告した。
このなかで、25年度から「事業部制による事業運営・経営管理体制の構築」を行うことを初めて明らかにした。そのために20〜21年度を前期とし「県本部・事業部の経営体質改善と管理部門のスリム化」をはかり、22〜24年の後期で「財務基盤の健全性確立と事業基盤の整備」を行うとした。
それに伴う「事業部制に向けた子会社管理態勢の強化」として、コンプライアンス、内部統制レベル、業績によって個別評価を行いそれにもとづいたランク付け(A,B,C)を行い、県本部子会社については各ランクに対応した本部長権限の制限を行うとした。
「支援対策の利用状況が低調であり、取り組みの効果が実感されていない」とされた「担い手への 対応強化」では、全国共通メニューや県独自メニューの見直しを行い農薬大型規格を55から180品目に拡大、肥料満車直行に4t車を追加さらに対象品目を拡大するなど、より実効性のあるものをめざした。
また担い手に出向く担当者である「TAC」(地域農業の担い手に出向くJA担当者)では、6つのステップを設定し各ステップごとに行動指標を設定した。さらに優良事例の積上げと6つのステップに取り組むJAの拡大をはかるためにモデルJAを全国に100設定した。
米販売事業の機能強化としては、数量・価格・引取制限をセットした実需者・卸・全農の3者契約を拡大していく。また、播種前・収穫前契約も拡大していくが20年産米では21万tと19年産米の3万tから大幅に拡大した。精米販売では、精米商品の品質向上・とう精コスト低減のために20年度は7社で再編協議に入ったが、将来的には全国10拠点工場へ集約していく。
これに対して農水省からは、事業体制の再構築については「スピード感をもってすすめて欲しい」。担い手対応については、3月末の状況で評価する。米穀販売については、非主食用の取り組みをさらに進めて欲しいことと、全農の販売機能を発揮して欲しいなどの意見が出されたという。