JA全農と富士通(株)は、耐久性ICタグを核に豚肉のブランド力強化、安全・効率的な食肉生産をサポートするマネジメントシステム「養豚トータルトレーサビリティシステム」を開発し、秋田県のポークランドグループで本格的に稼動したと18日記者発表した。
このシステムは、図のように、耐久性に優れたICタグを核に、▽肥育履歴、と畜情報を蓄積・管理する「豚トレーサビリティシステム」▽固体別体重データを収集する「オートソーティングシステム」▽情報を分析・意思決定する全農の「養豚生産管理システム」(PICS)から成っている。
耐久性ICタグは、ICチップとアンテナを内蔵した30mmの円形で重さは4g。分娩翌日に生まれた豚の耳に簡単に装着でき、高湿、ふん尿、かじりなどの厳しい環境での耐久性に優れほとんど脱落することがないという。
このICタグに母豚番号や離乳日、移動日などの情報をハンディリーダーで現場で迅速に入力することができる。
オートソーティングシステムとは、最大400頭を1豚房で飼育し、給餌スペースと休憩スペースを柵で仕切り、豚が餌を食べるために移動するときに計量器の上を通過させ、体重を自動的に測定し選別するシステムだ。これにより、個体ごとの発育状況が分かる体重データが自動的に取得できるので、環境変化への対応力や問題解決力が向上し、経営判断のスピードアップをはかることができる。
ICタグを核としたこのシステムによって、群で飼養管理する豚では難しいといわれてきた個体別トレーサビリティが可能になったということだ。
生産情報公開JAS規格に対応しており、間違いのない生産履歴情報を消費者に提供することができるので、偽装からのブランド保護やブランド力の向上につながると考えられている。
このシステムを導入したポークランドグループは、今年1月に第3農場である(有)ファームランドが完成。グループ全体での母豚数が約4800頭となり、21年度の出荷は11万3000頭と日本最大規模のSPF豚生産農場となる。
ポークランドグループの豊下勝彦代表は「畜産を取巻く環境は厳しさを増しているが、消費者に安全で美味しい豚肉を届けるよう社員一丸となってなって取り組んでいく」と記者会見で語った。