農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

食の安全、政府に責任

−石破新農相が就任会見

石破茂(いしば・しげる)    昭和32年鳥取県生まれ。慶大法卒。61年衆議院議員初当選。平成4年農林水産政務次官、12年農林水産総括政務次官、19年防衛大臣。     9月24日に発足した麻生内閣で農相に就任した石破茂氏は25日午前、農水省内で就任会見に臨んだ。    事故米問題では就任と同時に石破新農相を本部長とする事故米対策本部を設置した。会見ではこの問題について「食の安全には政府が一義的な責任を負っている。政府が完璧であれば起こらなかった。言い訳無用、批判に抗弁する...

石破茂(いしば・しげる)
石破茂(いしば・しげる)
    昭和32年鳥取県生まれ。慶大法卒。61年衆議院議員初当選。平成4年農林水産政務次官、12年農林水産総括政務次官、19年防衛大臣。

    9月24日に発足した麻生内閣で農相に就任した石破茂氏は25日午前、農水省内で就任会見に臨んだ。
    事故米問題では就任と同時に石破新農相を本部長とする事故米対策本部を設置した。会見ではこの問題について「食の安全には政府が一義的な責任を負っている。政府が完璧であれば起こらなかった。言い訳無用、批判に抗弁するのではなく真摯に耳を傾けていくことが大事だ」と述べ、外部による検査も含めた検査体制や輸入・販売に関わるセクションの見直し、職員の能力向上など、「スピード感と納得感」をもって取り組むと話した。
    食料自給率向上策については「自給率はあくまで結果。大事なのは自給力。自給率とはそもそも何かを因数分解し、精緻に検討しなければならない」と持論を展開。重点事項として、確保すべき農地面積、農業者の数と年齢構成、農業用水利を中心とするインフラ整備などをあげ、農地面積や農業者数には数値目標を設定する考え方を示した。また、条件不利地域対策は「恒久化するかどうかも議論のポイントになる」とした。
    農地制度改革については「日本農業のいちばんの問題点は農地制度にあるという認識を持っている」と指摘、「端的にいえば、法人、個人を問わずやる気のある主体に農地が集まる仕組みにしていかなければいけないということ」と話した。
    そのうえで株式会社等の農地所有については「投機目的の転売であるとか、不法投棄の場所になるといった懸念があるが、病理現象に目を当てて、あるべきものから目をそらしてはいけない」とし、転売などの問題には「対策をどう打つかを議論すべきであって、やはりやる気のある主体に農地が集まるということが第一だと思う」と話した。

初登庁は25日午前1時半過ぎ。出迎えた幹部職員とほとんど言葉も交わさず厳しい表情で省内へ。
初登庁は25日午前1時半過ぎ。出迎えた幹部職員とほとんど言葉も交わさず厳しい表情で省内へ。

    一方、24日に自民党は生産調整協力者に10アールあたり3000円を助成するなど水田農業対策を決めたが、こうした緊急対策について今日どうやって生きていくんだという方々のために緊急対策は打たなければならない。しかし、5年先、10年先はこうでなければならないと同時に語らなければならない。その議論ができる土壌をつくるために緊急対策は必要。2つは二律背反的なものだと思っていない」と話した。
    党がとりまとめた対策については精査していないと具体的な言及は避けたが、自民党の農業政策について「昨年の参議院選挙で民主党が掲げた政策がなぜ多くの農業者の共感を呼んだのか、自民党国会議員の一人としてよく分析しなければならないと思っている。自分たちが正しいのだと声高に言うことはいくらでもできるが、なぜ、民主党の政策が多くの人々の心を捉えたのか。われわれの政策にしても、実際に農業生産額が減り、農地が減り、農業者が減り、高齢化し限界集落が続出するということは、やはりすべてが正しかったと言えないのではないか。そこは反省がきちんとなければ進歩がないと思っている」と話した。

(2008.09.25)