年間500万トンと言われる食品の可食部分の廃棄をどう減らすか、農水省総合食料局に設置されている食品ロスの削減に向けた検討会(座長:牛久保明邦東京農業大学教授)は9月26日、3回めの検討会を開き事例報告も交え意見交換した。
料理店、レストランなど外食産業から出る廃棄量は客の食べ残し、店側の仕込みすぎがほとんど。廃棄量は年間約300万トンだ。業界では食べ残しを生じさせないために、ポーション(盛る量)を客がえらべるようにしたり、商品の作り置きをやめ、注文を受けてから調理する方式に改善したりしているという。あるファストフード社の場合は、作り置きからオーダーメードに変更した結果、年間食品廃棄量が6万トンから4万9000トンへ、18%削減できたという。仕入れや仕込量も、前の週のPOSデータを活用したり、店舗の近隣施設の行事情報や天候条件を加味し判断するやり方が効果を上げているという。 海外ではドギーバッグ(持ち帰りパックの利用)が定着しているが、日本では通常はその場で食べてもらう前提で調理しているため、衛生面で実施が難しいという。
弁当、そう菜など中食から出る廃棄量は統計がなく不明だが、食材の仕入れや加工には売り上げ実績にもとづく予測管理や、従業員の意識改革が重要。
製造業でロスとなる食品は規格外品、返品、余剰在庫、売れ残りなど。これらのそれぞれを減らす努力は必要だが、廃棄物となってしまった場合は、焼却、肥・飼料化する前に消費期限内で食べ切る方法として注目されだしたのがフードバンク活動への寄付。事例発表したNPO法人セカンドハーベスト・ジャパン(東京都台東区)はキューピー、ニチレイ、札幌飲料など定期的に約60社(関東圏)、不定期に400社以上(全国)の支援を受けフードバンク活動をしている。法律や社内規定などでやむなく発生してしまう規格外品のうち、品質や安全性に問題ない食品を食品関連産業から無償で寄付を受け、支援を必要とする福祉団体・施設などに寄贈している。倉庫、冷凍冷蔵庫、常温・冷凍車数台を保有し、配送している。広告会社、銀行、個人等からの寄付で人件費や物流費用をまかなっているという。
コンビニのローソンは、販売期限が切れた商品は売り場から下げるが、消費期限までには数時間あるため、その間は品質上の問題はない。この余剰となった食品を有効活用するため、横浜市でNPO法人さなぎ達と提携、同法人が経営する「さなぎの食堂」がパンや弁当を無償で引き取り、メニューに活用している。
牛久保座長は「製造、加工された食品がよどみなく流通過程を流れていくなかで、滞る部分を突き止め、ロスを少なくする解決策を考えていく」としている。