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年間3万人の突然死を救うためにAED研修を開始

−JA共済連 (10/7)

胸骨圧迫をする今尾理事長。    手前のオレンジ色のボックスがAED本体     JA共済連の今尾和実理事長が「非常に驚いた」と話すように、心臓発作などによる病院外での突然死者数は年間3万人にものぼる。これは交通事故死者数の5倍だ。突然死の7〜8割は心臓発作だが、5分以内に人口呼吸やAED(自動体外式除細動器)を使用した心肺蘇生を行えば、50%以上の人が助かる。    そこで社会貢献活動の1つとして、JA共済連はAEDの活用を広げようと10月7日、東京・赤坂の本社内で心肺蘇...

胸骨圧迫をする今尾理事長。手前のオレンジ色のボックスがAED本体
胸骨圧迫をする今尾理事長。
    手前のオレンジ色のボックスがAED本体

    JA共済連の今尾和実理事長が「非常に驚いた」と話すように、心臓発作などによる病院外での突然死者数は年間3万人にものぼる。これは交通事故死者数の5倍だ。突然死の7〜8割は心臓発作だが、5分以内に人口呼吸やAED(自動体外式除細動器)を使用した心肺蘇生を行えば、50%以上の人が助かる。
    そこで社会貢献活動の1つとして、JA共済連はAEDの活用を広げようと10月7日、東京・赤坂の本社内で心肺蘇生実習を行い、役職員ら約30人が参加した。
    AEDは操作に必要な資格などなく、一般人でも簡単に扱える機器だ。平成16年4月から誰でも使用できるようになった。突然倒れたり、意識や脈拍がない傷病者に電気パッドをあてると、自動で心電図解析をするとともに電気ショックを与えて、心臓の動きを正常に戻すことができる。最近は駅、デパート、学校、公民館などに備え付けられており、東京マラソンや秋葉原の無差別殺傷事件などでも使われた。
    研修の講師は、日本で唯一の国産AEDメーカーである日本光電(株)の三谷晶子インストラクターが務め、役職員らは脈拍の確認と気道の確保から胸骨圧迫(心臓マッサージ)、人口呼吸、AED操作までの心肺蘇生実習と、「パニックにならない」「必ず助けを呼ぶ」「的確な指示を出す」などの救命活動の心構えを受講した。
    研修を終えた今尾理事長は「やってみて分かったが、1人で救命活動をするのはとても難しい。全職員に救命活動のやり方を周知していかないといけない」と感想を述べた。JA共済連では今後、全国の全職員がAED操作などの心肺蘇生実習を受ける予定だ。
    
◆救命活動によって、JA共済職員が直接地域に貢献できる
    
    JA共済連が全国の職員を対象にAED研修を受講するように決めたのは、今年8月にJA共済連の職員が人命救助活動に貢献したからだ。
    JA共済連の幕張研修センターで突然職員の1人が倒れたが、そこにいあわせた別の職員が「AEDを持ってきてください」と呼びかけて、救命活動を行った。倒れた職員は一命を取りとめ、すでに退院して無事に暮らしている。救命活動を行った職員は、県本部でAEDの講習を受けていたために、迅速な行動ができたのだという。
    JA共済連では「職員が直接地域に貢献できる保障活動はなにか」と考え、万が一の事態に備えた救命活動を職員に周知するとともに、AEDの普及にも力を入れることを決めた。
    三谷晶子氏はAEDについて「100mに1つは備え付けてあるのが理想だ」と言い、普及活動に努める(株)コープサービス事業部の稲村諭部長も「都市部では充分備え付けられているが、地方ではまだ足りない。地域の安心安全を担うJAグループが、率先してAEDを置いてもらえるようになってほしい」と語り、JAの積極的な取り組みに期待を寄せた。
    JAグループではJA共済連のほかに、家の光協会が導入に向けて積極的な活動をしている。

(2008.10.09)