緊急会見にのぞんだ 関東生乳販連の阿佐美会長(左)と林常務 |
中央酪農会議と関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)は10月16日、平成21年3月から飲用向け乳価の取引価格を約10%となる1kgあたり10円の値上げすることで、乳業メーカー大手3社と合意に達したと発表した。今年4月の3円値上げとあわせて計13円の値上げとなる。年間2回の価格改定は昭和50年以来33年ぶり、1年で10円以上の値上げは49年以来34年ぶりとなる。
配合飼料価格の高騰をうけて廃業する酪農家が相次ぐなか、酪農の経営安定と生乳の安定供給に向けて、関東生乳販連をはじめとする全国の指定団体は今年10月から10円の乳価値上げをめざし、乳業メーカーと交渉を続けてきた。9月30日に日本ミルクコミュニティと21年3月からの10円値上げで合意したことをうけて、明治乳業と森永乳業もほぼ同様の内容で合意に達した。
4月の3円値上げは「あくまでも中間合意だった」とする関東生乳販連は、10月の期中改訂を目指していたが、「価格の変更には時間がかかるため慎重を期した」とする日本ミルクコミュニティの回答どおり値上げ時期は3月となった。
関東生乳販連の阿佐美昭一代表理事会長は「牛乳の小売価格も改定されるだろう。消費者に負担をかけることになるが、日本酪農の存続のために値上げが必要だということを理解してもらいたい」と述べ、交渉の経緯について林克郎常務理事は「どこかが一歩前に出ないと変わらないなかで、農協系出資の日本ミルクコミュニティが動いてくれたので、他2社も動いた」と話した。
今後の展開について中酪の門谷廣茂専務理事は「全国の飲用乳の26%のシェアをもつ関東生乳販連が値上げの合意に達したことで、今後各地域の値段も決まってくるだろう」と期待を寄せる一方、「3月からでは遅い、果たして3月まで酪農業がもつのかどうか、という声もある」と、いまだに酪農の危機的状況は完全に脱していないと観ている。 (関連記事)