JA全中はこのほど19事業年度総合JA決算概況をまとめた。集計対象は今年3月に決算期を迎えた総合JAのうち2年度分のデータ把握が可能となった791JA。
事業取り扱い高では、貯金が前年度比(以下同)2.5%増の81兆7545億円、貸出金は2.3%増の22兆884億円で昨年度に引き続き増加した。
一方、長期共済保有高は3.0%減の337兆7748億円となった。減少幅は昨年の2.2%減よりも大きくなっている。減少のおもな要因は満期を迎えた契約が多かったこと。また、共済事業全体として、万一保障中心から医療、年金、自動車共済も重視した保障提供活動へとシフトしており、長期共済保有高としては当面、減少が続くという。
販売品販売高は3.4%減の4兆2792億円となった。このうち米は6.7%と大きく減少し9333億円となった。購買品供給高は0.8%減の3兆2328億円で昨年度の5.6%減にくらべて減少幅が小さくなった。
19年度の事業総利益は1兆9266億円で1.2%減。14年度には前年度比0.9%と増益となったが、その後5年連続で減益となった。信用事業と販売事業は増益となったが、共済、購買事業が減少したため。
信用事業は3.3%増益の7630億円。金利上昇で貯金利息が262%の費用増加となったが、資金運用収益の増加による吸収と、不良債権処理が進み貸倒引当金繰り入れ額(▲36.9%)や貸出金償却(▲19.4%)の減少などで増益となった。
共済事業総利益は5096億円。7年連続の減益となったが5.1%減は最大幅。共済事業収益4.4%減となったことに加え、事業費用が3.4%増えたことによる。
購買事業総利益は3638億円で引き続き減って5.6%減となった。
一方、販売事業総利益は1282億円だが、0.6%増と2年連続で増益となった。販売事業収益が3期ぶりに5.6%増加。ただし、事業費用も6.3%増えたことから総利益ベースでは微増にとどまった。
◆求められる抜本的な事業・組織の再構築
事業管理費は1.1%減の1兆7602億円。うち人件費は1.2%減の1兆2424億円となった。事業管理費削減は12年度から前年比減2%台となり15年度には3.7%に。このとき人件費は4.3%減だった。その後、事業管理費削減幅は徐々に小さくなってきている。JA全中ではJAでは事業管理費削減が限界に近くなっているとしている。また、人件費では増加に転じる県も増えており「人件費水準が二極化しつつある」という。
事業利益は過去2年の増益傾向から2.1%減となり、1665億円。事業総利益減と事業管理費削減が1.1%にとどとまったためだ。経常利益も減少に転じ1.1%減の2216億円となった。
事業利益、経常利益とも17年度には増益に転じたが2期で減少となった。JA全中では事業総利益が減少するなか、その減少分を人件費など「事業管理費の圧縮で吸収することは困難となってきている。事業実績を伸ばすための新たな方策や事業の見直しなど、抜本的な事業・組織の再構築が必要となりつつある」としている。
集計対象のJA計の組合員数は939万人。正組合員489万人、准組合員450万人となっている。役員数は2万791人でうち常勤役員は3364人。職員は21万6069人となっている。なお、総合JA数は10月1日現在で761となった。